新感線☆RS『メタルマクベス』disc2@IHIステージアラウンド東京

ある程度予想であり計算ができるdisc1と3に対し、最も未知数(だとわたしは思った)なdisc2ですが、ちょっと奥さん!これ悪くないですことよ!!。

わたしはdisc2でランダムスターを演じる尾上松也さんのファンを15年ぐらいやってるので特殊フィルターを装備してることについては否定しませんが、フィルター取っ払ったとしても、disc2のランダムスター夫妻は過去2作とはまた違う魅力があって、これならおススメできる!!!!!(全力で拳を突き上げつつ)。

一人二役が復活してたり兵庫の設定が大幅に違っていたりセットも変えてた髑髏城の七人とは違い、メタルマクベスは恐らくdisc1〜3すべて同じセットで役者によって言い回しなんかは違えど基本的には台詞も同じでやるんじゃないかな?(セット・客席の回し方含めた演出についてはこれが完成形・完全版と言っていいかと)。ゆえにランダムスター夫妻をはじめとする役者の違い、キャラクター像の違いがイコール各discの『違い』になるのではないかと、disc1と2を見てそう判断するわけですが、disc2はとにかく若い。ことあるごとに全力ヘドバンするランダムスター夫妻の若さと勢いが破滅に向かう疾走感と言った感じで、それがdisc2の印象に直結してる。

野心と野望を抱く若い妻の殺意に翻弄される気のいい夫といった感じだった初演、ちゃんと自分たちのしてること、しようとしてることを理解し覚悟したうえで「王殺し」という道を選んだように見えたdisc1に対し、disc2は「考えなし感」がある。アホな夫婦がテッペン取ったるぜー!ってな勢いだけで王を殺した末、自分たちの仕出かしたことの重大さをあとになって実感するってな感じでまさに「愚か」なんですよ。

disc1は濱田めぐみ夫人が「小さい箱を選べばよかった・・・」とつぶやいた瞬間二人が犯した過ちの重さを実感させられたわけですが、disc2はその台詞を言う前、「小さな人間が大きなことをしようとしたから」ってなところでもうブンブン頷けちゃうのね。まさに二人は「小さな人間」なんです。そしてそれは若いから。若さだけじゃないかもしれないけれど、若すぎるがゆえに一旦走り出したら止まることができなかった、止まることを知らなかった愚かで哀れな二人・・・に思えて、同情できてしまうのです。マクベス夫妻に“若さ”という要素はないように思うので(王にナンバーツーとして信頼されるぐらいだし、そこまで若いってこともないよねえ?)、そこが好みのわかれるところではあるでしょうが、わたしは好きです。

キャスト発表時、最も気になったというか不安でしかなかったキャストのバランス、特に浅利くんグレコとのバランスも、松也ランダムスター以外は総じて小柄なひとを揃えているおかげで気にならない・・・どころかランダムスターの「存在感」をいや増す効果があってですね、ええ、つまり物理的に松也ランダムスターが「デカく見える」わけですよ。衣装もさとしさんと比べると質量があるので(曽我五郎を彷彿とさせるシルエット)強そう感もあるし、いやはやコレは嬉しい誤算。

グレコとの一騎打ち、浅利グレコはかなりのスピード&手数で何度も何度も斬りつけるのにランダムスター/マクベスは倒れないもんで「なんで死なないんだよお!」って言っちゃうんだけど、この場面にこうまで視覚的に説得力が出るとは!。

炎の報告のあたりではそのサイズ感から兵士たちに埋もれてしまいどこにいるのか見つけづらい浅利グレコでしたが、ここぞというところの演技力はやはりさすがで、木場さんと共に若いdisc2を文字通り支えてる。

って、木場レスポール王がまたすごいのなんのって。

disc1はランダムスターもレスポール王もどちらも人の良さを感じさせるので、眠りを奪われた理由はひとことで言えば「罪悪感」であったのに対し、disc2は「恐怖」「畏怖」であるように思う。自分たちが犯した罪の重さにだんだんと押しつぶされていくのがdisc1だとすれば、disc2は殺してしまった存在の大きさに慄き怯え捕えられていくというか。それを振り払うためにヘドバンせずにはいられないのだとしたら、実に哀れだよねぇ。
なのでやってることは変わらないのに特に2幕の雰囲気というか手触りが結構違って、なるほどこれが「キャストの違い」かと、こういうふうに見比べられるってのはやっぱり贅沢なことだよなー。

どうなるのか予想ができなかったその1「岡本エクスプローラー」はハゲ面でした(笑)。正面から見ると金髪長髪で普通にカッコいいんだけど、所謂ザビエル型ハゲでw、でも未来パートではハゲてることに特別触れられることなく進むのでどういうことだろうかと思ったら過去パートでローズから「最年長」「大きな子供がいそう」とオッサン扱いされてて、若いキャスト揃いだからこそのネタというか、そこぐらいしかダメ出しできるところがなかったんでしょうねと思いつつも、男闘呼組が死ぬほどすきだったわたしとしてはなんどか遠い目になりました・・・w。

あ、あとマーライオンもしっかりあった!。親子でWマーライオンでしたw。まさかゲロ吐きまくる岡本健一を見る日がくるとは思ってもみなかったよね・・・。

あ、でもでもレスポール王の葬送時にギターを弾くんだけど、たぶんここはエクスプローラーではなく岡本健一で弾いているということだと思うのですが、ものすごく岡本健一なのでかつてのまんまギターを弾く岡本健一を拝めるとは思っておらずうっかり泣きそうにもなりましたよ。

それからどうなるのか予想ができなかったその2「徳永君」。冠君のポジションはやはり徳永ゆうきさんでしたが、炎の報告演歌Ver違和感皆無でびっくり&笑ったわ。ヴァンパイアに続きマクベスシェークスピア)の世界でもシレっと溶け込めちゃう徳永ゆうきの汎用性の高さってばなんなの!?w。

原くんのレスポールjr.はまず今の段階でこれだけ大きな舞台でこれだけ見せ場のある役をやれるだなんて、この子はどれだけ“持ってる”んだろうなーと思わずにはいられない。disc2のjr.はジャニーズ(ジュニア)から選ぶという前提があるとして、正直言って原くんである必要性ってないんじゃないかなと思うの。disc2の元きよしはなにやら田原俊彦風でと指示されたとのことですが、disc1の松下優也くんの栄輔とかマイケルと比べてそれは原くん個人に対しての演出ではなく「ジャニーズ(ジュニア)」に対する演出だと思うし。でも他の誰でもなく原くんがこの役を掴んだ。躍動感あふれる王子としてキッチリ作品の1パーツを担ってる。これだけの経験が出来ることってそうはないだろう。その機会を手にしたこと自体に良かったね!と言いたい。

もしわたしが今もジュニアに本命がいたら(いやいるんですけど、あの人jr.やれるような感じじゃないんで・・・)間違いなく嫉妬で狂ってただろうなと思いつつ、ここからどれだけ原くんのレスポールjr.が伸びるのかすごく楽しみです。


とにかく全力疾走してる感がすごいので、気持ちはともかく体力面と喉がさいごまでもつのだろうかと心配になってしまうほどですが、どうかどうかなにごともなく無事に走りきれますように。