小林 大輝『Q&A』

Q&A

Q&A

Web小説界の常識を打ち破る「ピクシブ文芸大賞」大賞受賞作(帯より)です。
そんな賞があることを知らなかったし、そもそも“Web小説界の常識”なるものを知らないので受賞作であることは私にとって特にコレといったアピール要素にはなりませんが、『君に殺される僕は幸せだった。』と書かれた帯文がとても魅力的だったので手に取りました。
抵抗のあとが一切なく幸せそうな表情を浮かべ胸を一突きされた死体が発見され、その現場には1冊のノートが残されていた。そこには小説と思しきものが異国の言葉で書かれており、書いたのは被害者だと予想した二人の刑事はそれを読み始める。という始まりで、ノートに書かれた内容と、それを読む刑事のやりとりが並行して描かれるスタイルなのですが、小説の書き手と刑事たちは勿論違うわけだから意図的にそう書き分けをしたのだろうと想像しますが刑事パートのぎこちなさが気になって気になって。文章が下手だとかそういうことではなく、舞台っぽいというか、そういう意味で自然じゃないんですよね。
と思いながら読み進めてたんだけど、途中でこの不自然さってのは舞台が日本ではないからなのか?と、欧米あたりの翻訳小説っぽさを狙ってのものなのか?と思い付き、というかそれまで舞台(死体が発見された場所)が日本ではないことに気づいてなくて、ああだからこんな感じなのかと、だから事件現場から警察署まで車で戻るのにこれほどまでの時間(距離)がかかっているのかと、そう理解はできたもののわざわざそういう舞台設定にした意図はわからない。特別養子縁組をこれだけの超スピードで決めることができるから?。
タイトルの意味があきらかになると同時に小説としての物語と現実に起きたことが一つになる瞬間は目を見張るものがありました。映像化の予定があるそうなので舞台設定含めどういう「見せ方」をするのか楽しみ。