柚月 裕子『孤狼の血』

孤狼の血

孤狼の血

「いやぁ、おもしろい」という黒川博行さんの帯文に惹かれて手に取りました。初めての作家さんになります。
昭和63年の広島が舞台で、捜査二課の暴力団係に配属された新人刑事が抜群の実績を誇るも暴力団と密接に関わり独自捜査が過ぎるベテラン刑事と共に暴力団抗争を止めるべく奔走するという物語。
現実の問題とは関係なく小説(創作)の世界の中の話として、やっぱこの時代のほうがロマンがあるよなーとか思いつつ、でもそれこそ黒川さんの作品のほうが警察(捜査)の描写もヤクザの描写も、なにより会話とテンポ感がはるかに上だなーと思いながら読み進めていたら、ベテラン刑事がまさかの展開になり、新人刑事に課せられていた役割が明らかになり、そこからのエンディングで「そういう話だったのか」と分かった瞬間はちょっと痺れました。ラストシーンの手前で事件に関わった者たちのその後が年表形式で書かれているのですが、それ読みながら映画を観たような気分になったし。うん、確かに「いやぁ、おもしろい」だわこれ。