道尾 秀介『満月の泥枕』

満月の泥枕

満月の泥枕

面白かったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!。
これまで道尾さんの作品をそれなりに読んできた中で、「物語」としてこれが一番面白かった!!!!!。
主人公というか視点となるダメ男がいて、ダメ男が共に暮らす兄の娘(姪)と2人が暮らす安アパートのひとたちが騒動に巻き込まれる・・・というより自ら起こした騒動が思わぬ展開を呼ぶと言ったほうが適切かな、そんな感じの話なんですが、これがもう完璧な群像劇。結構な数の登場人物なのに誰一人いらない人物がいなくてそれぞれ物語のなかでしっかりとした役割を担い、そして生きてる。それぞれの人生が描かれているのです。かつ物語の展開、騒動の過程から顛末までの流れがこれまた見事に決まってて、その中にそれぞれの悲しみや苦しみや切なさがあって、でもだからといってしんみりシリアスするわけではなくむしろドタバタコメディで、この一連の騒動で何かが、現実が、劇的に変わったりするわけじゃないんだけど、それでもそこには確かに希望がある。とてもとても面白い小説でした。大満足!!。