柚木 麻子『BUTTER』

BUTTER

BUTTER

柚木さんの新作だからと当たり前に手に取り、そして読み始めて即「木嶋佳苗」のことを想起させられ、感想を書こうと思って名前を確認すべく検索したらまんま作中に出てくるような当人のブログが真っ先に表示され、興味本位でアクセスしてみたら柚木さんに本意がよくわからない主張をぶつけてて今混乱の只中にあります。え?なにこれマジなやつなの?。
木嶋佳苗の言う「広告」とやらをわたしは目にしたことがないので全くわからないものの怒りながらもとてもしっかりこの「BUTTER」を読んだのだろうなということは伝わってくるのですが、なにこれ新手の商法?。
なんにせよ気持ちが悪いので見なかったことにするとして・・・
木嶋佳苗(が起こした事件)をモチーフにした作品(ミステリー)としてか、『女』というものを描く作品としてか、どちらかにもっと寄せていれば感情の持って行き場があったんじゃないかと思いつつもページをめくる手は止まらず、おぞましさ・・・なのかなぁ?なんだこの気持ち悪い話と思いながらもその得体の知れない何かに絡めとられるようで、胸焼けしそうなほどのそのなんだかわからない吸引力に柚木さんは今かなりノッてるんだなーということを強く感じながら読み進めていたところで第157回直木賞にノミネートされたとのニュースを目にし、ほらやっぱりね!となりました。
関係性は違うものの死刑囚との関わりを持っているという点で「100万円の女たち」というドラマのことも重ねてしまうのだけど、この現実と虚構の地続き感というか、混じり合い取り込まれそうになる感じ、これはこの作品の中に漂い続ける気持ちの悪さに通ずるものがあるかな。
ところで、主人公の親友としての存在だと思ったら、中盤以降は物語の中心と言っていいほどの動きを見せる玲子という女が実家からボーダーコリーを連れ出すというくだりがあるんですが、ボーダーコリーをキャリーケースいに入れて手で運ぶのは無理だろうと突っ込まずにはいられない。しかも夫との関係が改善に向かい始めた途端物語の中からこの犬の存在が消えてしまったもんでそれが気になって気になって・・・。