『ストリートワイズインワンダーランド―事件の方が放っておかない探偵―』

第61回岸田國士戯曲賞を受賞した上田誠による受賞後初の描き下ろしドラマ×劇中の楽曲は全て小暮晋也描き下ろし×主役は安藤政信
もうこれだけでお腹いっぱい胸いっぱいでしたが、いい意味でものすごくくだらない話でした(笑)。
安藤政信演じる主人公は『だれが見ても探偵顔』(ちなみに祖父も父親も)で、ゆえにと言っていいのかどうか、ちょっとした依頼のために動いていたはずが世界の裏側に関わる大きな事件に巻き込まれてしまう・・・という設定なのですが、依頼人とその夫、暇を持て余して事件に首を突っ込みたがる探偵の取り巻きたち、MIB風の二人組、そして探偵にライバル心を抱くエリート刑事と、画面に出てくる人間が全員こういっちゃなんですが「モブ顔」で(悪口じゃないです!以下を読んでいただければ分かると思うのですが適材適所という意味だと解釈していただければ!)、安藤政信だけが異次元なの。顔のみならず存在が異次元。捜査対象をワゴン車内から見張るシーンで狭い車内でモブ顔がひしめき合ってるなか助手席で煙草を燻らすんだけど、そことかもう明らかに一人だけ作画が違う。国会議事堂の地下に運び込まれたちっちゃなUFOを奪取すべく作業員の格好で潜り込む場面もゾロゾロと大勢で忍び込もうとするモブたちに「こんな大勢とかおかしいでしょ!」って言うんだけど、わたしにしてみりゃ作業員スタイルなのにそんなにカッコいいあなたのほうがよっぽどおかしいですよ?と言いたい。
その圧倒的すぎる異物感が事件の方が放っておかないという特殊体質(?)含め和田という探偵の根幹に直結してて、この探偵役は『安藤政信さん以外にはいない』と盛り上がった人たちのセンスに感心しきり。
そして『この探偵にならボクも付きまといたいと思いました』という上田誠さんのコメントに超同意!!。
存在してるだけで画になるんだけど、この探偵は巻き込まれ体質だけあって基本「トホホ系」なんですよね。ハードボイルド気取るんだけど、それバッチリ決まってるんだけど、でもモブ顔共にワラワラわいわい押され懐かれ結局受け入れるそのトホホ顔がたまらないわけです。確かに暇という理由もあるでしょうがそれよりなによりこの顔をさせたいがために付きまとうんですよね。うん超納得。
とまぁとにかく安藤政信の存在ありきのドラマですこぶる満足でしたが、これだけ安藤政信カッコよすぎてまじヤベエと書いておいてなんなんですが、仮面ライダーウィザードのチンプイこと戸塚純貴くんがいたせいか、トレンチコートに身を包みくるくるヘアにちょこんとソフト帽乗せるザ・探偵スタイルの安藤政信仮面ライダーWの左翔太郎こと桐山れんれんに見える瞬間があったようななかったような・・・。