『逃げるは恥だが役に立つ』第10話

いやあ・・・前回まではこんなに可愛い35歳童貞がいるわけないっ!いてたまるかっ!!ってなことをですね、思っていたわけなんですが、今回のラストで「なにこのクソ男」ってなりました(笑)。
家事代行という仕事を通じて出会った男女が合理的な「契約結婚」をする、というところから始まったドラマの中で、“雇用主”である津崎平匡がどんな人生を送ってきて、どんな考え方をするどんな人間なのか、それをしっかり描いてきたから童貞卒業とリストラが同時にきちゃった平匡さんが「よかれと思って(みくりさんとのこれからのことを考えて)」籍を入れて結婚しようと言ったんだってことはわかるし、その気持ち(なぜそういう行為に至ったのか)も理解できはするけど、これはない、食事する店のグレードを教えてくれないことも含めこのシチュエーションでそういうこと言う(そういうもの出す)!?ってこと以前にこういう考え方をするってところがクソだわー。ていうか大切なのはシステムの再構築などではなく気持ちを素直に伝えることだと知ったはずなのに、なんで気持ちより先にシステムの話をしちゃうのかと。
現実として、籍を入れて夫婦になったら“雇用関係”ではなくなるわけだからそこに賃金という対価が発生することはなくなるわけだけど、その『浮いたぶん』を貯金に回せば家を買えるってのはほんとない。ないよ平匡!!。
ていうか電話しながら「ありがとうございます。明日伺います」って頭下げてたのはてっきり転職先だと思ったら(そう思わせておいて)キャンセル待ちしてた高級レストランだったんだよね?。わたしはその瞬間まで平匡さんはみくりとのイチャイチャ生活(現状)を維持するために早く次の仕事を決めなきゃならないと必死になってて、決まったからプロポーズってなことなんだと思ってましたがそんなことはなく、平匡さんはまだ転職先決まってないんだよね?。優秀なSEだってのは本当のことなんだろうし、恐らく平匡さんにもその自覚・認識はあるだろうから収入面はさほど変わらず転職できるつもりでこの試算を出した、ということだと解釈しましたが、実際引く手あまたなんだとしてもそれでも リストラを言い渡された⇒結婚しましょう(そしたら今まで払ってた金払わなくてよくなるから貯金しましょう)は浮かれポンチすぎんだろ!と言わざるを得ない。
(でも、クソ男!と思った次の瞬間「僕と結婚したくないんですか・・・?」と捨てられた子カピパラのような顔になる平匡さんにはギュン・・・ッ!!となってしまってクソクソ悔しいっ!)
一方人間性をしっかり描いてきたのは森山みくりも同様で、母親の怪我で両親宅に行ったときのことや商店街のひとたちとの会話という前フリもあってここへきての「好きの搾取に断固として反対します」には頷けるわけですが(同意できるかじゃなくて「言いそう」という意味での理解ができるということです)、それでもこの女めんどくせええええええええええ!!!と思ってしまった。
繰り返すけど籍を入れ正式に結婚したとして、現在の生活を維持するならばみくりは専業主婦ということになるわけで、今とやってることは何も変わらなくてもみくりに「給料」という形で与えられていた“対価”はなくなるけど、でもそれは「愛情」という形に変わるってことだと思うの。だから(そんな綺麗ごとじゃないってか愛情なんてふわふわしたものじゃなく“家事労働の対価”は形で示せ形で!!という主婦の皆さんの主張はソレとして)平匡さんが普通に「好きです。結婚してください」って言ってたならばみくりは喜んでそれを受け入れたよね、きっと。そんでみくりへの給料の支払いはなくなりそのぶんを貯蓄に回したとしても、みくりは「好きの搾取」とは言わないと思うの。言わないよね?。だから平匡さんは踏むべき段階をすっ飛ばしちゃったってだけで、すっ飛ばしすぎて着地点を間違えて転げ落ちちゃったってのが平匡さんのイマココだとわたしは思うのだけど、平匡さんの行為は行為として、平匡さんのプレゼンに対し「好きの搾取は断固拒否」というみくりの反応ってか考え方もなんかちょっと厭だなと。みくりの言い分としてはリストラ=金が理由で結婚しようってことなの(自分の労働力を愛情を理由に搾取しようとしてんの)?ってことなのでしょうが、商店街の話のこともあるからみくりだって金のことで断固拒否してんじゃないの?と思えてしまうというか、みくりが“そういう人間”だってことは理解してるつもりだったんだけど、そういうこと言うかお前・・・という気持ち。
(しかし商店街の人への演説とか、3000円という対価から適切な労働時間を計り、その中でフォーマットを作って実際にそれを埋めるのは商店街に振るという仕事のやり方なんかを見てるとみくりってかなり仕事が出来る人間に思えるんだけど、でも就職出来ず派遣も切られてしまったわけで、なんだろう・・・何が悪いんだろう。やっぱ小賢しさ・・・・・・なのかなぁ)
あとこれ高級レストランだって教えてくれたらそれに相応しい格好してきたのにという恥ずかしさと怒りみたいなものもあったと思うんだけど、確かに言わなかった平匡さんも悪いけどでも勝手にってか一方的に「焼き鳥」だと決めつけたみくりも悪いと思うんだよね。それはたぶんこれまでだったら伝えていた・確認してたものが「好き」だと伝えあいそういう関係になったことことの弊害じゃないけど、気安さが増したぶんこれまでにはないすれ違いが生まれてしまった、ということなんじゃないかな。
でもまぁあれかな、「平匡さんとならしてもいいですよ」の時の逆構図ってことなのかな。あの時はみくりが平匡さんの気持ちを考えず先走り、それに対し心無い反応(言葉)を返してしまった平匡さんだったけど、今回は平匡さんがみくりの気持ちを考えず先走り、みくりも言葉選ばず感情で反応しちゃった、ということなのかなと。でもあの時と違うのは二人の価値観というか、考え方の“違い”からこうなっちゃってるってことだよね。あの時はお互い「好き」だってことは明白だったから問題は傷つけてしまったことの“フォロー”をどうするかってことだけであって見てるところは同じだったけど、今回は気持ちというか結婚(生き甲斐)という現実に対する考え方のところからすれ違ってしまってるわけで、「契約結婚」から始まった物語をどう終わらせるのだろうか。
それは1話を見たときから思っていたことなんだけど、でも当初思っていたような「どう終わらせるのか」とはなんていうか・・・・・・濃度が違う。なんかすごいところに連れてこられちゃったなという感じ。
てか完全に「愛される人はいいなぁ・・・」属性のわたしにはただただもう見てることしかできないですw。主婦(家事)労働の対価とか愛情の搾取とかそんなの実感としてわかんないし、みくりと平匡さんも百合ちゃんと風見さんも、なるようになればいいんじゃないの?としか思えんw