『真田丸』第49回「前夜」

お兄ちゃんの「黙れ小童!!」を筆頭に、これまで見続けてきたご褒美をもらった気分です。
お兄ちゃんと価値観というか生き方が違ってしまった幸村が最後に源次郎として「兄上を酒を酌み交わしたい」って言うんだけどお兄ちゃんは振り返ることなくその場をあとにするのだとか、信尹叔父上のほっぺたペチペチとか、ばば様に似てる姉上とか、六文銭渡して半泣き笑顔で送りだそうとするおこうさんが「ゴホゴホ」って咳したら即座に肩に手を置いて「だいじょぶか?」って小さい声で労わるお兄ちゃんとか、家康が本音らしきものを話す相手が景勝様だったり、ずんだとかずんだとかずんだとか、あとずんだとか。
これぞ瞬殺・・・な塙団右衛門から始まり次々と愛着ある登場人物たちが死んでいくのは辛かったけど(又兵衛がどうみてもVシネ死でしかなかったのとかマジ辛い・・・)、これまでしっかり見つづけてきたからこその哀しみだし、ていうか「これ」を見るための1年間だったんだよな。
そのわりには、というか真田丸での戦い(冬の陣)と比べてチープとしか言いようがない合戦シーンだったけど、でもどれだけの映像を見せてくれたとしても死ぬことは変わりないわけで、このチープさが豊臣の状況を表しているように思えて虚しかった。もっとドラマチックな死を描くこともできたのかもしれないけど、そういうものを求めてしまいたくなるけれど、死は死でしかないんだ。
特にそう思ったのは重成の死。兜に香を焚き締めいい匂いをさせた見目麗しい青年が泥にまみれて死ぬ。重成の最期はセットのショボさと相まってなんていうか・・・無常を感じた。
それから戦向いてないっつって台所番になったのに内通者どころか暗殺者ばりの手練れかよ!?な大角与左衛門にサクッと殺された与八にあと九度山からついてきた青年も。あの時以降全く姿を見せず死んだという事実だけが描かれるとかさ、二人の死が物語上は何の意味もないことがほんと辛い。最期の瞬間何を考えていたのかなんて想像できないけれど、せめて自分の決断を後悔しなかったならば、そんなことを考える間もなく死んでいったのならば、死ねたのならば、ほんの少しだけでも気持ちは救われる・・・・・・かな。
ていうか盛親がついてくんな!っつってんのにアヒルの子みたいについてく長宗我部家臣たちが切な苦しくて死にそうだった・・・。逃げて生き延びろっつってんのにお前らー!って盛親が刀抜いて振り向いて引きの画になったらもう周りで全員倒れてるんだもん・・・・・・(藤堂高虎に勝利したのはスルーだから盛親がなんにもできない殿だったようにしか見えないことも含めて)こんなの辛すぎるよー。
そんななか、自分にだけ徳川からの誘いがないことをスネる勝永さん(髪の毛下ろしてるVer)が最高に可愛かったです。ほんとこのひと卑怯。
それとは違う意味で卑怯ってかコイツどうしてくれよう・・・っ!!(ワナワナ)だったのが平野さんですよね・・・。スルメ齧ってたら真田信之がいたもんで慌てて逃げる→兵糧全部取られちゃったんだよー><ってところまでは「ああ・・・平野さんは平野さんだな・・・」と思えたというのに、そのあとお兄ちゃんに向かってベロベロバ〜ってした瞬間コロス!!こいつコロス!!!!!ってなったんだけど、これなんでこんな煽らせ方したんだろう・・・・・・。平野さんはほんとうに本気で七本槍のプライドを掛けて秀頼公のために、そして亡き太閤殿下のために兵糧を届けるつもりだったのにダメだったと、兵糧全部取られちゃったってなことだとわたしは思うのだけど、そこで即上手いこと言い訳して誤魔化して許してもらってまたスルメ齧る平野さんってのはとても“らしい”と思うんだよね。だから信之見て逃げ出すところまではアリなんだけど、最後の煽りはちょっと許せないレベル。繰り返すけどわたしは平野さんは本気だったと思ってます。でもそれが叶わず、叶わなかった時点で即座に気持ち切り替えて徳川に潜り込む。それでこそ平野さんだと思います。だから羽交い締めされてるお兄ちゃんから見えない廊下の影で「済まぬ」って頭下げるとかさ、そんな感じならよかったんだけど、ベロベロバ〜ってしちゃったら兵糧の話すらでまかせってか何もかもが嘘だったように見えちゃうじゃん。そうなの?そういうことなの平野さん!?。だとしたらわたしは平野さんのことを全くわかってなかったってことになるわけで・・・。
あ、そうそう、全くわかってなかったと言えば秀忠もそう。これまでも総攻め総攻めとは言ってたもののここまで強く豊臣殲滅を掲げるのには驚いたというか、家康に「恐ろしい男」とまで言わせるような人間だっただなんて、わたしはぜんぜん秀忠のことを分かってなかった。
でもあれかな、秀忠の側には本多正信が付いていたわけで、やっぱ正信が秀忠をこう育てた、ということなのかな。
だってサドさんまじサドすぎるでしょ。あれは寝たふりじゃなくて半分ほんとに寝てたんだと思うのだけど、残り半分であんなこと考えてるとか恐ろしすぎる。
そんな回の最後でついにヒロイン・きりの想いが報われた。源次郎もきりもこれが「最期」だからだとわかってのこと、というか、そのつもりでのことだろうから「よかったね」と言っていいのかわからないけど、きりは最高の人生を送ったと思う。愛する人の子を産み育てるというこの時代の女の幸せは掴めなかったけど、愛する人の側に(無理やりでも)ずっと居続けて他の女では出来ない仕事を、自分にしか出来ないことを託される。最高にカッコいいじゃないか。かつて秀吉が茶々に「死ぬときに日の本一幸せなおなごだったと言わせてみせる」と言ったけど、この時のきりはまさにそう思ってたに違いない。そんなきりをわたしは羨ましく思うよ。
そしてこのシーンのまさみはガッキーに負けてなかった!!まさみめちゃめちゃエロ可愛かったぜ!!(劇中ではアラフィフだけどw)。


ついに最終回。終わってしまうのが寂しいのと(来年のことを考えると)怖いのとで日曜が来なければいいのに・・・と思う気持ちと早くこいこい日曜日!!という気持ちでぐちゃぐちゃですが、泣いて笑って「面白かった―!」って拍手を送れる最終回だといいな。