津原 泰水『エスカルゴ兄弟』

エスカルゴ兄弟

エスカルゴ兄弟

帯に「料理小説」とはあるけどでも津原さんだからさー、くるくるに囚われた男がどうにかなっちゃうとか、店でエスカルゴを食べた人間がどうにかなっちゃうとか、とにかく「どうにかなっちゃう」(ホラー的に)話なんだとばかり思ってたのにほんとうに料理小説でした。それもかなり熱い。加えてロミジュリ的ラブコメ要素もあり。さらにうどん戦争が勃発。これだけの内容を詰め込んじゃったもんだからさすがにまとめきれず尻切れトンボな終わり方であることは否めませんが、でも面白かったー!。
要素テンコ盛りとは書きましたがストーリーとしては正直あってないようなものなんですよね。でも面白い。登場人物に変な設定をくっつけることなく「癖のある人物」ってところで留めながらこれだけキャラクター性で読ませるのはすごい。脇役までしっかりキャラクターの「顔」が見えるもん。
そして料理がどれもこれも美味しそう!。これを読むと私は本物のエスカルゴを食べたことないんだなーと思うし、食べてみたいという気持ちになる。エスカルゴだけでなく店の看板になる油揚げにチーズ挟んで焼いたものがほんとうに美味しそうに描かれていて、これだったら自分で作れそうだし、つまりこれは完全に『料理小説』です!。