平山 瑞穂『妻を譲らば』

妻を譲らば

妻を譲らば

父親を憎む息子がいて、その息子が職場のテラスから落下する。その背後には親子二代にわたって妻に男をあてがうという歪んだ行為・感情があって・・・という話で、それがあらゆる(関係者の)視点で描かれます。
と書くと変態チックな物語を想像するでしょう?。私も初めは、いや3分の2ぐらいまでそういうものを読んでいるつもりでした。関係者のひとりにはマジ変態というかどうしようもないクズ野郎もいるし、胸糞悪い話を読んでいるつもりでした。
そしたらなんか丸く収まってた。いい感じで終わってた。転落事故の真相、この話がここへ繋がるのかーと感心しつつ、クズにも救いらしきものがあったし、この話をこういうところに着地させるかと。
まぁ実際のところ、当事者が納得すればいい話ではあるし、この先どうなるか、それが必ずしもいい方向に進むとは限らないだろうけど、この設定この展開でこの結末ってところに・・・理解できないとか納得できないとかそういうことじゃないんだけど、なんかこう「普通の顔してすごいことやってんだなー」的な、ちょっと引いてしまう私がいます。