『真田丸』第35回「犬伏」

戦装束でお屋形様の前に『片膝』をつき報告と提案をするもこの期に及んで逃げたい奴はお咎めなしで逃がしてやれと仰るお屋形様に微かにヤレヤレってな顔をしちゃう直江様にピギャー!となり、
形部様に「共に死ぬなどまっぴら御免」「俺がお前を勝たせてやる」とか言われて泣いちゃう三成に「泣いてる暇はない」と言って(もうほぼほぼ目が見えないはずなのに『三成の涙』だけは見える(のであろう)形部さまってば・・・)二人っきりで夜を徹して手紙を書き上げ力尽き倒れこんだ形部様を抱きしめる(抱きかかえるというよりも抱きしめると表現したい!)三成にヒンギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!となり、
あとまぁ危機察知能力がすごい阿茶様とか「徳川に情報は渡さない」「帰るのは沼田に決まってるでしょ」な稲(とおこうさんチーム)に対し薫様を取り合う春ときりとか「案外重い」ガラシャ様に「じゃあさっさと死ね」と言い捨てるきりとか顔面圧がすごい江さんとか、なんかテキトーな演出されてた佐助とか(4日と半日にそのまんま頷いてくれる形部様に思わず戸惑ってしまったわw)、周りはノリノリだけど正直あんまやりたくねーわーな金吾に「実は拙僧徳川の間者なんだけど」とバラす江雪斎とかあったりしたけど、あとはもうついにくる犬伏の別れに咽び泣けばいいんですね!とか思ってたら



お兄ちゃん・・・!
お兄ちゃん!!!!!
お兄ちゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



感無量です!!!!!(両拳突き上げてガッツポーズ)。
真田家最大のイベントと言っても過言ではない『犬伏』。父と弟は豊臣方に、兄は徳川方につくという“奇策”を提案したのはなんとなんと、信幸でありました。
弟に対し「敵味方に分かれて戦うようなことはしたくない」と言った兄が、これまで散々「お前は詰まらん」と言われ続けていた兄が、真田家の未来を決める策を「提案」し「決断」した。
父は信玄公(自分にとっていちばん良かった時代)への想いという過去に囚われ、弟は太閤殿下の遺言に縛られるなか、兄はしっかりと未来を見ていた。真田家の未来を。
『私は決めました。私は決めました、父上。私は決めた』そう力強く宣言する兄上に、これまで見てきた34話のどの瞬間よりも、わたしの心は湧き立ちました。
突然確変したのではなく、これまで父の突飛な策に振り回されつつも従い、自分では思いつかない弟の策に感心したり嫉妬したりしてきたお兄ちゃんのこれまでの時間全部があってのこの奇策なんですよね。そしてお兄ちゃんのこの策には「父上の気持ち」も「源次郎の気持ち」も織り込まれてる。お兄ちゃんだからこそこの策を思いつくことができたんだと素直に思えることが嬉しいやら誇らしいやらで!。
様子を窺いにきた家臣の歯を折るのが昌幸ではなく信幸だったとかさー!豊臣が勝ったら俺を助けろ、徳川が勝ったら俺がなんとしてもどんな手を使っても二人を助けると言い切るお兄ちゃんアンタ最高に格好いいぜ!!!!!。わたしはこんなにもカッコいい大泉洋をいまだかつて見た事がありませんっ!!!!!。
そしてそんなお兄ちゃんの奇策に目を見開いた弟と、「良き策じゃ」と言う父ですよね。
兄が名実ともに真田家の嫡男ではなく当主として、真田を背負った瞬間だった。
そんなお兄ちゃんと並んで夜空を眺めながら涙をこらえきれずくしゃくしゃの顔して泣いちゃう信繁と、そんな弟をみて静かに泣く信幸のシーンはちょっともう・・・たまらんものがあったよね。だってこれ堺さんガチ泣きじゃん。堪えても堪えても我慢できなくて涙溢れちゃうってやつじゃん。兄弟が別れて戦うという決断を兄にさせた不甲斐なさと、自分を豊臣に行かせてくれる兄の優しさと、そして兄を支えることが自分の役目だと思っていたのに兄にはもう自分の支えなど必要ないのだと、もう兄を支えることはできないのだという寂しさを噛みしめるがごとき弟の泣き顔。お兄ちゃん推しのわたしとしては堺雅人にこんな顔をさせた大泉洋を、大泉洋が演じる真田信幸を心底誇らしく思うわ。
でさ、ここで終わってもよかったと思うんだ。むしろ「犬伏」のイメージとしてはここで終わるのが普通(のドラマ)だと思うの。
でも真田丸は最後に親子三人で笑いながら酒を呑むというシーンを持ってきた。
父にいつまでも夢物語語ってんじゃねえ!と怒鳴る弟がいて、両方赤いイカサマくじを持ち出す父にこういうことはもうやめましょうと冷静に諭す兄がいて、息子と最後・・・ってわかってるんだろうなぁ・・・もう二度と会えないであろう息子たちと酒を呑む父は息子が完全に自分の手を離れたことを理解し、そこに寂しさを覚えながらも嬉しいという、何とも言えない笑みを浮かべてた。
三人ともこうやって揃って酒を酌み交わすのはきっともうこれが最後だと悟ってる。だけど笑う。だから笑う。
犬伏の別れは悲劇ではなくこの先への希望なんだ。これが『真田丸』なんだな。