『真田丸』第18回「上洛」

状況の見極めが甘かったとか自分の力を過信したとか理由はあるにせよ「どこで間違った」かと言えば「上洛のタイミング」になるんだろうけど、家の者の前では意気揚々と上洛を宣言し、持参した土産物を秀吉喜んでくれるかなーワクワク!俺も欲しいぞーソワソワ!ってしてたのに『蔑ろ』にされまくる父上にはさすがに心が痛くて見てるだけのわたしですら辛かったんだけど、それでも悪いことがあればいいことがあると、家康に頭を下げ徳川の与力となったけどそのぶん嬉しいことがあったと、父上にそう思わせてくれたことには感謝したいというか、生きててくれてありがとうと思えるんだけどね、それにしても記憶取り戻すキッカケがきりの踵カサカサってなにそれ・・・。
姉の背中にほくろがあるとか(それはヤバイ妻ですw)、お藤さんと呼ばれる踊り子が姉の松であるとの確証を得るための材料なんかねーのかよーと思った次の瞬間、旦那から貰った匂い袋というこれ以上ない確証アイテムを持ってるところを信繁が目撃してたんで、よっしゃ確定キター!と思う一方でこの匂い袋(=夫の存在)が記憶を取り戻すキッカケになるのだろうと、当たり前にそう予想したのに、きりの踵ってそりゃねーよ。何気ない会話がトリガーになって記憶が一気に戻るってのは定番と言っていい展開だとして、父と弟の“姉の思い出”はまぁ・・・酷かったからwここで思い出せないのは仕方ないってかドラマ的にアリだけど、父上が喜びを得られたことは別の話として松の記憶がどうなろうがどうだっていいとはいえ他人であるきりとの会話がキッカケってのはいくらなんでもひどいだろう。わたしのような凡人に匂い袋と思わせて・・・きりのカサカサ踵でしたー!という引っかけというか遊び心というか、そんな意図があったとするならば、その面白味がわたしにはわからん。
でもまぁ姉上の記憶喪失ネタをだらだらと引っ張らなかったことはありがたい。
そしてこの真田家にとって屈辱的な回に死んだと思ってた松が生きていて、そのうえ失っていた記憶も戻り文字通り「家族が再会できた」という『救い』を持ってくるのはやはり上手い。
それから、真田の献上物である毛皮を「臭っ!!!」と馬鹿にしつつもせめて見栄えだけでもよくなるようにと派手な箱を用意させるとか三成の“気は使ってるのに言い方で台無し”ってな性格をサラっと描き、わざわざ真田安房守に会いに行くことでそんな三成のフォローをする大谷さんを描くと、ここいらへんも上手いわー。この作品の大谷吉継がどんな思惑でもって動いてるどんな人物なのかはまだはっきりとは見えてこないけど、こうやって敵を作りやすい三成のフォローをしてくれてるんだろうなーってことがこの描写だけで察せられるもん。
そして今ごろノコノコと上洛した真田に会うのを引き延ばしてたものの信繁の頼みという名の恫喝を聞き入れる形で謁見を許した秀吉が、三成のみならず片桐さんまでもあんな顔をしたほど臭いのキツイ毛皮をしっかり羽織って出てきたことね。ようやっと現れた秀吉が自分が持参した毛皮を着てくれてると昌幸が気付いた瞬間、この男には『敵わない』と、一瞬でそう解らせる画の力よ。
そして、蔑ろにされたと思ってたら毛皮を着てくれてるうえに「儂はお主の力を一番欲してた」と言われたわけだから、昌幸と信幸の喜びたるやいかほど!!と思わせた次の瞬間徳川の家来になれだもん・・・ただ言われただけだったらここまで絶望しないよね。一旦喜ばせておいてのこの仕打ち。ここに秀吉という男の恐ろしさを感じるし、これからどんな流れで真田昌幸と信繁親子が豊臣のために働くことになるのか、ますます楽しみになった。
真田親子と言えば、吉野太夫を見て同じ顔して呆けてる昌幸と信幸な(笑)。このあとの辛い展開はソレとして、あと吉野太夫を呼ぶ金を信繁ごときが払えるのか?ってのもソレとして、これは好きなシーン。
兄弟の再会シーンもよかったなー。二人で顔ペチペチしあってんの可愛かった。お兄ちゃんはこのところ父親に対して複雑な感情を抱く息子としての顔だけだったし、弟は都会の大企業で必死で働くサラリーマンの顔だったけど、お互いを認めた瞬間兄の顔であり弟の顔になるんだよね。
あ、そうそう。以前昌幸は薫に対して信繁は乱世で輝くけど信幸の力が活かせるのは太平の世であると予言めいたことを言ってたけど、当の信幸は“戦いこそが俺のステージ”だと思ってるんだね。これは記憶しておいたほうがいいかな。
それから以前はおひつからご飯よそうのも難儀してたおこうさんがご飯をよそいにこやかにお茶碗を差し出せるほど元気になってることも。


数話ぶりに直江さんの美声を聞けて幸せです。