
- 作者: 柚月裕子
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2010/03/05
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声の色が見える(色でその人の真意が分かる)「共感覚」の持ち主である青年が大切な少女の死の真相を追求したいと切望していて、青年の担当になった新人臨床心理士が青年を理解すべくそのために奔走する・・・という物語で、「少女の死の真相」を巡る謎解き要素はあるものの、臨床心理士と青年が心を通わせる物語として読みました。
が。そういう物語として読むと主人公が経験する暴力、性的な暴力の描写がなんて表現すればいいのかなぁ・・・目立つ?んですよね。巻末の解説にも選考会議でそこいらへんが問題になったらしく、受賞作として刊行された単行本では一部の描写が削除されたそうで、その判断は理解できるかなと。
でも文庫化の際はそれを入れた。そこに作者の強い拘りがあるとのことで、それは「孤狼の血」を読んで私が感じた『面白さ』に通じているように思う。そうまでして主人公が真相を突き止めようとする気が知れない、そんな目に遭ったというのに元の生活に戻れる(戻ろうとする)神経が理解できないという反応が大半なのは当然だろうという予想ぐらいは出来るだろうに、それでもそんな場面を描くということ、作者のその拘りを私は面白いと感じているのではないかなという気がします。