ここまで見続けた最大の理由は森井くんメイン回を見るため(森井くんの背景を知るため)だったんですが、森井くんの事情がこう言ってはなんだけど「金」という身も蓋もないもので、「そんなもんかー」と。
でもこの「そんなものか」ってのは話としてつまらないという意味でのそんなものかではなくて、人生そんなもんだよねという共感・・・じゃないけど、頭ではなく気持ちとして理解できてしまうが故の「そんなもんか」。
劇中で小早川さんに「闇金でも行け」と言った森井くんは、これ自分に対しての言葉でもあるんだろうなーって。実際のところ奨学金制度含め学費を作る方法があったのかなかったのかわかりませんが、当時の森井くんは学費がなくて医大を辞めなければならないという『現実』を受け入れちゃったんだよね。多分、抗おうとしなかったんじゃないかな。諦めちゃったんだよ。
森井くんが抱えていると思しき鬱屈は、そこにあるのではないだろうか。医者になれなかったことではなく、あの時もっと必死に抗っていればなんとかなったかもしれない、夢を諦めずに済んだかもしれない、その“かもしれない”をずっと抱え続けてるんじゃないかな
それが「闇金行け」ってな言葉に現れたのではないかな。
無理でも足掻けよと。諦めるなよと。それはあの時の自分に対して言いたいことなんだろうなーと。
そんな森井くんの想いを受け止めた小早川さんは『死ぬまでにやりたいこと』をすべく前向きな日々を送っていたわけなんだけど、でも「余命」、つまり「残された時間」とは全く関係のない理由でアッサリ命を落としてしまったと。やりたいことをやってる途中で。
これもさ、それこそ身も蓋もない言い方だけど「こんなもん」なんだよね。人間死ぬときは死ぬんだよ。まさに余命宣告の数字に意味なんてないんだよ。
だから今日を、今この瞬間をどう生きるかってことで、生きることを諦めていた小早川さんは森井くんと出会ったことで短い時間とはいえ日々をしっかり生ききったんだと思う。
小早川さんがやったことの三つ目として「一つの命を救った」と森井くんは言ったけど、小早川さんとの出会いは森井くんにとってきっとずっと残る記憶、思い出になるだろうわけで、それは森井くんのこの先の人生において大事なものになるよね、きっと。これからの森井くんがどう変わるかはまだわからないけど、そこにはきっと小早川さんの存在がある。あって欲しい。
誰かにとって大事な人になれること。それだけで生きた証しになるんじゃないかな。
医療ドラマとして果たしてこれでいいのか?と思う気持ちもなくはないけど、これもまた医療の現場で起きてることなんだよね。病理関係ないけどさ(癌と“診断”するのはまさに病理の仕事なわけで、その結果余命を告げられた患者ってのは森井くんの話でなければ病理ならではのアプローチが出来たかもだけど)(終末医療の先生に森井くんが面倒かけるかもしれないけど迷惑はかけないようにするからと断りを入れた岸先生の「あいつ病理に必要な奴なんで」っての、これすごくよかった)。
あとまぁ・・・やっぱ世の中金ですよねと・・・。金が全てとは言わないけど、金があれば大抵のことはなんとかなるよねと・・・・・・。