誉田 哲也『プラージュ』

プラージュ

プラージュ

過去に罪を犯した者達がシェアハウスで共同生活を送る物語なのですが、これだけだったら「ケッ」ってなもんですよ。罪を犯した人間がもがきながら立ち直ろうとする話はいいとしても「シェアハウス」が舞台というだけで私は嫌悪感すら抱いてしまうので。
でもそこは誉田さんです。1審で実刑判決がでながら2審で無実となった男について調べるためにシェアハウスに潜入するルポライターという要素を入れることで、ワケあり人間たちのシェアハウスライフでありながら「A」とは誰か?そしてルポライターの真の目的はなにか?という目線で読ませてくれました。人数が限られているので前者についてはそこまでの驚きはないものの、後者については思いのほか(でもちゃんと伏線は張られてた)酷いもので、誉田さんらしいなと。まぁ、どこまで周辺住民たちがこのシェアハウスについて理解しているのかわからないというか、常連客含め“そういう人間”たちが夜な夜なパーティのような盛り上がりで呑んだり歌ったりしてるってのはどうかなと思うわけで、そこいらへんはやっぱり温いなーとは思ったけど。