- 作者: 薬丸岳
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2015/03/26
- メディア: 単行本
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全然違った。主人公罪償ってねーでやんの。
生まれつきの身体的理由でもってイジメを受け社会的にも迫害されていた主人公が暴力を覚え悪の道に進んでしまったってところまではいいとするよ。で、暴力団の闇賭博で多額の借金を抱えてしまい追われているところで娘を暴行され殺されたという老婦人と出会うのですが、そこで老婦人は逃亡資金を出してやると言うのです。そしてその条件として娘を殺した奴らが出所したら病で余命幾ばくもない自分の代わりに殺してくれと頼むのです。悩んだ末にそれを引き受ける主人公。その後主人公は貰った金で整形し戸籍を買い、別人となり結婚し娘も生まれ幸せな日々を送っているところへ「あの男達は出所しています」と、約束を果たしてくださいという手紙が届く・・・ってな展開で、この時点では主人公に同情できるわけですよ。闇金で借金作ったことは自業自得だけど、人殺しをしろだなんて約束を守れるはずがないだろうという主人公の心情は理解できる。だから途中まではよかったんです。
でも主人公を脅していた人物とその動機が明らかになるとそういった感情は吹っ飛びました。
押し込み強盗してただなんて聞いてねえええええええええ!!。
実際には未遂というか、暴行なんてしてなかったとはいえ盗み目的で押し入ったことは事実。そんなことしといて他人の金で整形し身分を変えて更生しました。敵討ちする約束はしましたが人殺しとか無理に決まってますけど妻子には手を出さないでくれって、そりゃあムシが良すぎるってもんだろう。「一度罪を犯した人間は幸せになってはいけませんか」って罪の代償を払ってないんだから幸せになっちゃ駄目だろうって話ですよ。お前に幸せを求める資格はねーよってな話。
まさかこんな話だとは思いませんでした。なんでこれがちょっと切ない話っぽく終わるのか、そこが謎すぎて。