伊坂 幸太郎『ジャイロスコープ』

ジャイロスコープ (新潮文庫)

ジャイロスコープ (新潮文庫)

全く異なる媒体に掲載された(そのために書かれた)完全なる短編たちが、最後に収録された描き下ろしの「後ろの声がうるさい」によってスバーーッと縫い合わされ統一された世界観を紡ぎあげる様は素晴らしい。1篇1篇はジャンルも雰囲気も空気感もまったく違う物語なのに、この「エンディング」(巻末に収録されている伊坂さんのインタビューより)で見事なまでに『一冊の本』になるんですよね。
あらゆる場所であらゆる人たちがあらゆる出会いをしあらゆる出来事に遭遇していて、そうやって世界は出来ている。伊坂さんの本を読むといつもそんなことを考えます。また好きな本ができました。