スペシャルドラマ『デート〜恋とはどんなものかしら〜 2015夏 秘湯』

連続ドラマという枠組みの中で全話を通して完璧に物語の流れを作ってみせた本編と比べると、さすがにちょっとひっかかる部分はありました。具体的には起承転結の「承」の部分。鷲尾くんが“クソニート”の浮気現場を目撃するのはいいんだけど、それを藪下家に告げ口するのが依子さんの幸せの為という正義感よりもニートに負けた腹いせのように見えてしまったことが。
でもそれはそもそもこの騒動の種を蒔いた張本人でありながら存在を忘れられ置き去りにされるという「オチ」のためだったんですね。
嫉妬心が爆発して刃物持ち出したのはあの母親の娘だからと思えば納得だとしても、そこに至る過程、巧を“嵌める”ために温泉旅行を提案するくだりが依子らしくないというか、いや目的達成のための手段が頓珍漢で本末転倒ってのは実に依子らしんだけど、本末転倒の方向が記憶の中にある依子のソレとは違ってなんかちょっとイヤな女だな・・・と思わされたのも浴衣姿で遭難しての「心が欲しいです」のためだったし(ちゃんと依子のしたことが「卑劣」だと劇中で批判させたし)、そこからのそういうモードに突入した二人(書物や映画から得た知識を総動員したってなことなんだろうけど、博己くんやっぱこういうシーンは抜群にエロいわー。ちゃんとたどたどしいDTなのにエロいわー)(DTと言えば某総理の秘書ですが、あっちのDTは最高級のご馳走なのに巧のDTは萌え要素にならないのはなぜだろうか。やはり政策秘書高等遊民という属性の違いだろうか)に絶妙のタイミングで乱入する依子父まで見事な展開だった。
連ドラ時に何度も何度も思ったことだけど、古沢脚本の展開とラブとコメディの配分バランスはほんっとに見事。本編同様冒頭で相手違いのデートの様子を見せ、なにがどうなってそうなったのかを説明し、そこから怒涛の修羅場を経ての星空の下でのラブシーン、そして「愛こそ全て」と確認しあった二人の改めてのプロポーズ、さらに愛を踏まえて契約書の練り直しと、見事すぎて感動すらしちゃう。
喧嘩してしまったあと、巧の切った不揃いの野菜を食べる依子に対し、貧血女(身も蓋もない呼び方w)の家に出入りした巧ってのは浮気でこそなかったもののその行為と依子とは関係がないわけで、連ドラ時はここで巧の行動には依子に対する何らかの想いがあったりしたのでそこもちょっと引っ掛かったんだけど、でもここで貧血女に“依子の悪口を嬉しそうに言う巧”を語らせたことでその引っ掛かりは消えたよね。だってこれって依子が書いた谷口巧ノートと同じことなんだもん。嬉々として依子のために成分表の写真撮るとかなんなの可愛すぎんだけど!!。
ていうか放送日がスーパームーンであることを踏まえての「月が綺麗ですね」だったのかなぁ?。いいドラマにはそういう偶然があるものなので偶然ってことならそれでいいんだけど、古沢さんのことだから計算かもしれないと思うとなんかほんと完敗ですってな気分。
もうさ、宿に乱入してから遭難まであれだけハチャメチャなことやって(どこの湯けむり温泉殺人事件だよとw)、ていうかこれだけ人格的にどうなの?って二人で、それがどうしてこんなにも素敵なラブシーンになるのだろうか。
「月が綺麗ですね」ってのはある意味定番台詞と言っていいと思うのだけど、これをこんなにも素敵に言える長谷川博己が演じる谷口巧ってなんなのよっ!????和服姿お似合いすぎの格好良すぎだし!!!(ものすごく腹立たしいw)。