『花燃ゆ』第14回「さらば青春」

無理やりにでも流れを作って巻き込まなきゃという松陰先生の言い分はそれとして、その手法が「暗殺」というテロ行為なのもこの時代ならではの選択肢のひとつだと理解するとして、問題はそのために塾生を使うなよって思わせちゃうことだと思うの。自分は家から出られない身であるから実働部隊が必要だってことでしょう?稔麿が伊之助に「藩のためではなく寅次郎のためじゃないのか」的なことを言われてたけど、そういう塾生たちの気持ちを煽って利用するクズ野郎としか思えないことが。
実際松陰先生はこんな感じだったんだろうよ。強い理想があって信念があって本気で国を変えねばならないと思ってて、塾生たちは志を同じくする『同志』で、彼らにも家族がいて事情があることなど気にしない、大義の前では個人の事情なんて「どうでもいい」と考えていたのだろう。だって同志なんだから。それはまさしく狂気以外のナニモノでもないのだと思う。
でもこのドラマの松陰先生はその狂気がない。いや狂ってるとは思うんですよ。でもそれは「コイツ何言ってんだ・・・?頭おかしくね・・・?」という意味での狂ってる感で、大勢の塾生たちを道連れに暗殺という強硬手段に出なければならないという理由としての『狂気』ではない。お前一人でやれよ他人巻き込んでんじゃねーよとしか思えない。
つーかそこまでしなければならないほど外国からの脅威なんて劇中で描かれてないし、一応ここ2回かそこら名前付きで登場し井伊の命に従って動いてるんだろうなーとは解るものの暗殺のターゲットとして挙げられた老中・間部が殺すならアイツだと松陰先生が言いだすほどの“害悪”だとまでは解らない。雲浜先生が捕まえられ久坂が殺されかかったってだけじゃ井伊-間部ラインの“暴挙”の描写としては弱いし、ましてやそこから暗殺なんて手段に出る“しかない”と思わせるだけの説得力には到底なりえないだろう。父上と兄上にこんなことを言わせて、これだけのことを言わせて、それでもなお寅次郎が「やらねばならぬ」と言い切るだけの説得力がないんですよ。このドラマには危機感が全くないんだよ。毎日塾に集まっておにぎり喰ってるイメージしかないもん。



松陰先生が再び野山獄に入れられちゃったことで富永先生の今後がしんぱいです。