中村 文則『教団X』

教団X

教団X

内容が内容なので「面白かった」というのは心苦しいというか後ろめたいというか・・・そんな感じなんだけど、堪能しました。
たぶん、読みながら頭と心の半分ぐらいで現実のアレコレを想像したり考えたりしてたんだけど、もう半分は「物語」として没頭できました。
人間って生きていくためにきっと何かが必要で、それは国によって人種によって社会によって人によってそれぞれ違って、中身や意味が違って、それによって争いが起きることもあれば、それを失うことによって死んでしまう人もいるのだろう。
それを理解できることもあれば出来ないこともある。共感できることもあればバカじゃないのって思うこともある。
でもそれを否定する権利は私にはない。誰にもないと言い切れるほど私は世界を解っているわけではないけれど、私にその権利がないことは解っていたい。
だから

私達は、世界を肯定しましょう。世界の全てでなくてもいい。世界の何かは肯定しましょう。

そういうことなのだと思う。