本多 孝好『魔術師の視線』

魔術師の視線

魔術師の視線

本多さんの作品で女性主人公ってあったっけ??。思い返しても思い当たらないから恐らく珍しいのではないかと思うのですが、女という性を前面に出しているわけでもないのに主人公のみならず登場する全ての女性が妙に生々しく、特に主人公と母親の関係性がアクセントとして効いていて、本多さんってこういうのも書けるんだーと新たな発見をした気分。
主人公の女性ジャーナリストが過去の因縁から派生したと思しき連続殺人事件を追う・・・という物語ですが、『嘘』が鍵となるので全編通してどこか薄ら寒く、気持ちが悪い。
で、まさかこれほんとに●●●じゃないよな・・・?と思ってたらそこまで明確なものではないけどやっぱり●●●で、これはそこに焦点があるのではなく、それに翻弄される人間の感情を描いているので(そういう意味では私が最も魅力を感じた宮城の元へ通う少年少女の存在が興味深い)毛色としては全く違うのだけど、本多さん今そういうモードなのかなぁ?と思ったり。