湊 かなえ『山女日記』

山女日記

登山しながらというシチュエーションではあるものの、姉妹や職場の仲良し三人組といった関係性の中で、女達が他人に対して妬んだり蔑んだり羨んだりしながら自分自身について考える連作集・・・とまぁいつも感じです。女が二人いたとして、どちらかの視点ではなく双方の視点で描くという手法もいつもの感じなんだけど、今回は「山」という共通項を用意しただけあってそれぞれ独立した関係性ではあるものの一つの大きな絵として読めました。独立した関係性であるはずなのに、三人組のうち二人が登った山で一緒になったカップルが結婚して海外のトレッキングツアーで今度は三人組の職場の先輩と一緒になったりするんだけど、そこまでガチガチのクライマーではない趣味として登山を楽しむ女が選ぶ山（コース）が被るのはおかしくないだろうから許容範囲。
で、タイトルの「山女日記」ってのは全ての作品ではなかったかもだけどほとんどの作品でその存在に言及されてる山ガールに人気のブログ？SNS？なんだけど、タイトルであるわけだしここに何らかの仕掛けがあると思ってたんですよね。でもなんにもなくてポカーン。面白くなかったわけじゃないけれど、山女日記ってなんだったんだよ感が残る。