結城 充考『クロム・ジョウ』

クロム・ジョウ

クロム・ジョウ

恵まれない環境で育った孤独な少女・ジョウは渋谷で出会った翡翠からプレゼントと称してライターを貰うが、それは翡翠が男から盗んだもので、実はUSBであるライターの中には世界を変える情報が収められているという。それを知ったジョウは行方不明となった翡翠を探すが、日本の裏社会と中国の組織もまた翡翠を探していた。やがてターゲットは翡翠からジョウに変わり、それと同時にドラッグの売人を狙った連続殺人が起きる。ジョウは頭脳だけを武器にたった一人で立ち向かう。
ざっくり要約するとこんな話なんだけど、なんかカッコいい雰囲気はあるけど何が描かれているのかさっぱり・・・。いくら読んでも主人公のジョウの貌が見えてこない。描写が薄いわけではないのにどれだけ読み進めてもジョウに血が通わない。おそらくジョウが抱える痛みであり恐怖であり孤独が読みどころなのでしょうが、文字以上のものはないんだよね。展開を読ませるタイプの作品ならそれでいいかもだけどこれはそうじゃない(と思う)。カッコいいことはカッコイイんだけどなぁ。