水沢 秋生『ライオット・パーティへようこそ』

ライオット・パーティーへようこそ

ライオット・パーティーへようこそ

今の時代の負要素てんこ盛りのボーイ・ミーツ・ガールでありガール・ミーツ・ボーイ。
しかもトラウマ抱えた女の子のように綺麗な顔した華奢で小柄な男の子と太ってることがコンプレックスだけど本当は心根の強い女の子の物語ですから、まぁ良くも悪くもイマドキだなーという印象なのですが、「人百合(ひとゆり)」という変わった名前の男の子の魅力で最後まで一気読み。魅力もまたありがちっちゃありがちなんだけど(CVつけるとしたら絶対神谷浩史!!)、単なる“美少年キャラ”ではなくちゃんとそれが物語にマッチしてるというか、そういう男の子だからこそ女の子は恋をしたんだなという説得力がある。
一方、人百合の目的である「世界を終わらせること」を、そういうつもりでなくともその引き金を引くのを手伝った複数の人間たちについてはその動機らしきものは描かれても“その瞬間”の描写もなければ“終わりのあと”も描かれない。彼らだって同じ空っぽなのに。一体なにが違うんだろう。出会いとタイミング?。そんなものはそうそう転がってないから空っぽなのに。
この変な表現だけど世界を終わらせるといいつつ視野の狭い感じが意図してのものならば私の好みなんで、それを確かめるために他の作品も読みたい。