刑事の相棒(助手含む)もしくは刑事本人が変人女ってなパターンはもう定番の1つだと思うのですが、その点このシリーズの女法医昆虫学者は変人中の変人なんだけど(河原でペットとして飼われていた外来危険種である毒蛇を捕まえてそのままリュックに入れちゃうぐらい。それも何匹も)、『変人女』を描こうとしていないところが非常に好印象。決してキャラ小説じゃないんだよね。あくまでも主役は『虫』。そしてあくまでも警察と契約した法医昆虫法医学者としての立場を崩さず、警察の捜査方針と食い違う意見を唱える場合は科学者としてちゃんと「証拠」を示すし、もともとの
人間性というか日頃のテンションは間違いなく変人なんだけど仕事に於いては「プロ」なんですよね。事件へのアプローチも多少のひらめきはあるものの基本はちゃんとひとつひとつ段階を踏んでるし、だから読んでて気持ちがいい。その上描かれる事件も毎回考えられた要素が散りばめられていてそれ単体でも魅力的で、そこに昆虫という他では読めないアプローチ法で挑む主人公の視点と、主人公に振り回されながらも警察による“真っ当な”捜査視点もあるわけですから面白くないわけがない。これはもう私にとって鉄板シリーズ。