『リーガルハイ』第4話

羽生というキャラを新たに加えた以上、羽生が覚醒するという話が必要であることは解る。これまで古美門の敵じゃねー!と思われてた羽生が自分の目指すべきところは裁判での勝利、勝つことで古美門を超えることではなく依頼人が幸せになることだと、まさにラブ&ピースこそが自分の理想だと自覚した、つまり今後は古美門と同じ土俵では戦わないってことを宣言したわけで、同じ土俵ならばゆとり弁護士なんぞ簡単に捻り潰せるけど(叩き潰せてきたけど)これからはそう簡単にはいかない・・・かもしれないってな話で、そこにはおそらく服部さんの行動、服部さんが電話をしてた相手は一体誰なんだ!?ってことが絡んでるのでしょうし、覚醒を計算に入れた上で羽生の存在そのものからして服部さんと誰かの計画、ということなのかもしれませんが、そもそもこの羽生というキャラそのものに敵としての魅力がないから(岡田まが悪いのではなく(いや良くもないけど)羽生というキャラそのものがリーハイの世界観に合わないんだよね。その合わなさを楽しませるためには力技でもなんでもいいから羽生というキャラを認めさせなければならないわけで、でも岡田まの技量でそれを求めるのは端から無理な話ってことかと)覚醒展開が来ても面白くもなんともないという・・・。その上広末のドS検事がシャシャりまくりだもんで最初から最後までずっと無表情で見てたわ・・・。
古美門(と黛)によるブロードウェイとかさ、裁判官や陪審員や傍聴人に対してそうした方が効果的であるからこそやる戦術の一つなわけじゃん。今回のこの状況ではブロードウェイをやる意味はなかった。基本やりたがりであることは否定しないけど、でもいつもブロードウェイ・・・ていうかタダの顔芸ですよねコレ、な論述の仕方ではなかった。少なくとも前作ではそうだった。広末の検事に古美門の“ノリ”が全く通用しないことぐらい分かってるだろうに“不必要”な演出して退廷命じられたどころか紙持って立たされるとかタダの馬鹿じゃねーかよと。
ていうか『馬鹿』の種類が違うんだよね。今回は笑えない馬鹿だった。飼い犬の習性を明らかにするってのが作劇上の目的でそのために広末検事を現場検証に出張らせるってのはいいとして、そこで「実に面白い」とか言わせちゃうのもセンスないなーと思ったし(ていうかこれ先に同局のドラマでやっちゃってて、シチュエーションを含めた演出&演技もそっちの方が上なだけに余計ネタとしては微妙な感じになっちゃったよね)、目をつぶって→キスされるのかと思ってドキドキ→虫ついてるよってなネタもあれなら別に目つぶらせる必要ねーだろとしか。わざわざ目を瞑らせなくてもいいだろって突っ込み含めてのネタだってことは理解してるけど、それでも目つぶらせなくとも普通に「ちょっと動かないで」っつって虫取ってあげればいいじゃんってかその方が自然だろ!と思わせる演出が酷い。脚本ではなく演出がひどい。・・・と思いたい。
・・・思いたいんだけど、脚本もなぁ・・・・・・・・・。
嫉妬されてる側だと思われてた方が実は嫉妬しまくりだったってなありがち展開だったものの、隣人同士、というか女同士の嫉妬バトルはその根底にある「女という性」を理解できることもあって結構面白く見ることが出来たけど、最後のオチなにこれ。最後にもう一度バーベキューをやれという“裁判所命令”はアホかと思ったけど両家とも引っ越すけど子供同士が付き合いを続けることは認めてやると、win-winの落としどころとしてこの結果はまぁアリかなーとは思った。冒頭で羽生がストリートミュージシャンと絡んでたのが単にいつでもどこでもwin-winを実践する羽生の人柄を見せるためだけではなく、そこでの出会いが不動産売買の仲介という成果に結びつくあたり、こういうところが羽生が人たらしと言われる所以なんだろうなという補強になってたのも良かったと思うし。
でもそこで猫背椿が佐藤仁美に「近くにいいマンションがあって、たまたま隣が空いてるんだけど・・・?」って言ったのは完全に失敗だろう。そもそも二人の諍いは生活レベルに格差が出たことが原因なわけで、裁判に負けた上に旦那とは離婚して引っ越しもすることになった佐藤仁美と羽生の口利きで相場よりもいい値段で家が売れそうだから近くのマンションに引っ越すつもりの猫背椿との経済格差は逆転したうえに年収としては恐らく今後7ケタ単位で差が出るんじゃないかと思うよね。猫背椿の口ぶりと羽生の性格(理想)からして恐らく佐藤家もまとめて「相場よりもいい値段」で売れる算段はついてるんじゃないかと思うんだけど(この後で猫背さんから「お宅も一緒に売っちゃわない?」という話が出るのではないかと)、両家とも家売ったお金でマンションを買えたとしても佐藤仁美は母子家庭になるわけで、その先の生活レベルには絶対に差が出る。そしたらきっとまた「お隣り」と比べて嫉妬する。
実際に佐藤仁美が猫背家の隣の部屋に入るかどうかは分かんないよ?。あのシーンは負けた佐藤仁美に勝った猫背椿が「隣の部屋空いてるわよ?」と歩み寄り、お互い照れながらだけど笑いあうことが出来たってところまでが事実でありその先どうなるかは分からない。でも裁判まで行ってしまった隣人同士の争い話のオチが「また隣に住まない?」ってのはさすがにないだろー。ドラマにしたって。百歩譲って別にドラマなんだからこんなとってつけたようなイイ話で終わってもいいじゃんとしても、リーガルハイでこういうのはやめてほしかった。
・・・とか考える一方で、この住宅環境で傷害事件を起こした隣人同士が自宅の敷地外(←ここ重要)でさよならバーベキューパーティって、ご近所の人達さぞかし困惑&迷惑してんだろうなーとおもいました(笑)。


「あなたも窮屈そうに見える」ってのは、勝つことだけが目的であること、“勝利”という鎖で自分で自分を縛りつけていること、そういう意味なのかなーと思うのだけど、そう言われて一瞬真顔になった古美門がカッコよくてちょっとドキっとしちゃったw。