『宝塚BOYS』@シアタークリエ

ほんとうに素晴らしい舞台だったので感想を残しておこうとは思うものの、4代目BOYSのあの呆れるほどの瑞々しさを、あの狂おしいまでの純粋さを、3時間という時間の中で描かれる彼らの9年間を、巧く表現できる言葉をわたしは持ちません。

千秋楽の挨拶で初代からずっとBOYSたちを見守り続けていらっしゃる池田さん役の山路さんが4代目BOYSを「その成長が日々目に見えて分かる」と仰ってたんだけど、ほんっっっっっっっっとにその通りなの!彼らの距離がどんどんと近くなり、彼らの間に流れる空気がどんどんと容赦なくなりw、それは9年間苦楽を共にした仲間のソレと重なって見えて、なんか・・・なんていうか・・・・・・たまんなかった。回を重ねるごとに彼らがぐんぐんと上原であり竹内であり星野さんであり、山田であり太田川であり長谷川であり二枚目の人(笑)になっていくのがほんと目に見えて分かるんですよね。

今回のBOYSは舞台経験としては先代BOYSと比べて総合的に最もあると思うのですが、だからここまで、こうまで個々人が成長し、作品が成熟する様を拝めるとは思ってなくて、千秋楽の鬼気迫るほどの気合い満タンのレビューは嗚咽堪えるのに必死でした。

超カッコよかった。羽根背負ってシャンシャンを振る彼らの姿はまさに清く正しく美しく、そして凛々しく雄々しく、でもそれは宝塚には不必要なんだよね。不要であるがゆえに彼らは今この瞬間最初で最後の幻のレビューを演じてる。それがたまんなく切なかった。
ガウチ演じる星野さんがね、スパニッシュを誰よりも格好よくキメッキメで踊ってたあの星野さんがね、幻のレビューの音が止むと同時に泣き崩れるんですよね。舞台に蹲って嗚咽するの。
(次のシーンのために着替える必要があるから)三者三様ってか七者七様の表情・動きでもって憧れ渇望し続けた宝塚の舞台への想いを見せるんだけど(良知演じる竹内の深々と一礼もグッとくるー><)、いっちばん最後まで舞台上に蹲り肩を震わせる星野さんの姿は全員の想いを代弁してるようで、さっきまであれだけギラッギラのキラッキラだったのはまさに幻・・・なんだよなぁって、もう吐き気がするほど可哀想で、せつなくてせつなくてどうしようもなかった。

誰が悪いわけでもないし、今現実に女だけの宝塚が100周年を迎えることを思えば、時代のせいでもない。夢を見た“男達”が愚かだった、ということなのかなぁ。
でも叶わない夢を見た彼らは、叶わない夢のために流した彼らの汗と涙は、誰よりも何よりも清く正しく美しかった、とわたしは思います。

そんな宝塚BOYSの物語は、宝塚BOYSという作品は、これからもずっとずっと演じ続けられると思うし、作り続けて欲しいです。
その歴史の1ページに大好きな役者の名前が残ること。それをこんなにも嬉しく思えるってほんとうに幸せ。ガウチもみゆも超可愛かったよおおおおおおおおおおおおおおお!!。


ってなわけで以下キャスト感想です。


まず竹内役の吉沢悠さん。汗ダク!!。全編汗だっくだく!!。もうその印象しかないといっても過言ではないッ!!!(笑)。
これまでで最も情けないというか頼りにならないというか、まぁそんな感じの竹内なんだけど、でもしなやかなんだよね。存在感がしなやか。4代目は個性というよりもチーム感が強いと思うのですが、そんな中でも精神的支柱である竹内と実力(能力)は断トツな星野さんというツートップのバランスをそのしなやかさでもって上手いこと取ってるなと。顔から胸元を赤く染めつつ汗かきまくりでとにかくもう必死かつ全力でそうあろうと頑張る姿は健気で可愛かった(笑)。レビューの時とか超頑張って笑顔作ってんだけどもう全身から『ひっし!!!』感溢れてて、それがもう可愛くて可愛くて可愛くて泣いた(笑)。
つーかさすがテレビ出てる人(テレビが本職)だけあって顔ちっちゃい!!。ラブレターのくだりとか太田川と長谷川と三馬鹿状態なんだけどw、チヒロさんもみゆもアレだからさぁw、その小ささが際立つのなんのってw。


太田川役のチヒロさんはビジュアルが全てですよね(笑)。この太田川像にハマりすぎてる。だからこそ後半明らかになる太田川の事情、太田川の抱える・・・罪悪感、なのかなぁ?劣等感?・・・そういうものがより一層痛々しく思える。全部分かって思い返すとそれぞれが兵隊時代の話をしてる時、太田川の声が乾いてたことに気付くんですよ。いつもとなんらかわりない飄々としたお調子者として会話に参加してはいるものの、戦争の話とそれ以外の話では声が違うの。トーンが違うんじゃなくて、水分含有量が違うというか。で、ああ・・・どんな気持ちで仲間たちの話を聞いてたんだろうなぁ・・・って、そう思って胸がギュンってなるのです。


山田役の小林大介さんはこの作品で初めて拝見したのですが、きっくんの山田と違いすぎて超戸惑った(笑)。おまえなんで選りに選って宝塚入ろうと思った!??????って(笑)。
山田役って言ってしまえば出オチだと思うんですよ。外見と中身のギャップがあることは(観客には)最初からミエミエだし。だからわたしはさほど山田という役自体には魅力を感じなかったんですよね。でも今回の山田の真相バレシーンがすっごく良くて!。
この話って冷静に聞くと「・・・で?」でしかないと思うのよ。そういう家庭環境で大好きな兄貴がそういう状態で、それは分かったけどそれでなんで宝塚?って思いは解消されない。他の人のように宝塚への憧れとか歌やダンスや演技をすることへの強い想いは多分この人にはないんだよね。じゃあなぜ今ここにいるのか?。きっと大好きな兄貴のそんな姿をもうこれ以上見てられなかったんじゃないかなーって。だったら別に宝塚なんぞに入らずとも家を出ればいい。でも山田は宝塚に入る道を選んだ。それは兄貴に希望を与えたかったからなんじゃないかなーと。
で、そういう想いをあの場で山田は云わなかった。嘘をついていたということだけを話し、その奥にある想いを口にしなかった。そこに山田という男の魅力があるんだと。小林さんの山田を見てわたしは初めてそう思ったんだよね。
あと上山くんの幹夫とのふんどしコンビがノリもルックス(この二人に関してはビジュアルではなくルックスと表現したいっ!w)も相性抜群で、単品ではなく他者との関係性でもってお互いの魅力を引き出すこの相乗効果っぷりは鈴木裕美演出の真骨頂だと思う。


これと言った個別エピソードがないのでそういう意味では最も難しい役なのではないかなぁ?と思う竹内役は良知でしたが、自力で見せ場作りやがったこの男(笑)。
見せ場とはそうです、もちろん公園シーンです(笑)。これまでそんな要素皆無だったのにまさか竹内のなかにこんなスイッチがあったとは・・・っ!!(笑)。
山路さんが「成長が日々目に見えて分かる」と仰ってたと前述しましたが、その最たるものが良知子のサスペンダープレイでござった(笑)(笑)(笑)。この時代の男子としてここまでやる良知子パねえ(笑)。
あと病院から抜けだした太田川が稽古場からも逃げようとした場面でビシャッ!と扉を閉める竹内に毎回わたしのM心が刺激されていたことをここに書き記しますw。


『二枚目の人』こと上山くん。毎回毎回終演後最も多く聞こえてきたのが「あの二枚目の人さー」という発言でした。二枚目の人呼びワロスwww。
マジでガチに二枚目なんすよこれが!!。時代が時代なんでみんながんばって“昭和感”を出してるんだけど、上山くんはナチュラルに昭和のハンサムさんでして、「イケメン」でも「男前」でもなく「ハンサム」という言葉がまじ似合う。
・・・・・・・・・そらね・・・・・・・・・・生徒さんもみゆではなく上山くんを選びますよね^^^^^^という圧倒的な説得力(笑)。いやそれでもわたしはみゆの長谷川きゅんを選ぶけど!!(笑)。
上山くんは一人あとから加わる後輩なのでお茶の用意をしたりテーブル吹いたり座布団並べたりとちょこまか動いて雑用をこなすんだけど、手際がよくて丁寧で、茶器を用意する手つきとか、動作がとても美しいの。女ってそういうところも見てるからさ、竹田がモテるのは顔だけが理由じゃないんだろうなぁ・・・って毎回思ってました。ハセをちらちら見ながらw。
それでいてバカ(笑)。エッフェル塔を体現しちゃうぐらいバカ(笑)。
それなのにオバちゃんをエスコートする時は色気出しまくりっつーかダンスシーンでオバちゃんを背後から抱き締めるようにエスコートするのまるでロミオ様なんですけど!!!。
そしてレビューの時は誰よりもイケ。激イケ。燕尾服の着こなしってか着慣れ具合はガウチとか良知の方が上なんだけど、肩幅がっちり(でも痩せたよね?役作りなのかこの舞台で消耗したのかわかんないけど)のスタイルのせいか燕尾に負けてないんだよね。
スパニッシュの途中でシャツの襟をビシっと立てるんだけど、それ悲鳴モンのカッコよさ!!!。それで物理的にそんなはずはないのにどこに座っても毎回毎回「わたしにウインクしてきたあああああ!」って思わせる手管!!。ついでにギリギリふんどし大サービス!!!。
つまり『こらモテる』わ(笑)と。ハセに勝ち目ねーわと(笑)。


そのハセこと長谷川役のみゆ。みゆ可愛い可愛いかわいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっん!!!!!!って毎回毎回心の中でじったんばったんしてました。もう可愛いしかない。女子じょし!ってギャーギャー言ってんのも馬の脚役と聞いてガーン!ってなっちゃうのも星野さんに努力じゃどうにもならないこともあるお前は「身長」と指差し付きで指摘されしょんぼりしちゃうのも馬に乗って名乗り決めようとするも落っこどされてゴロンって転がっちゃうのも「いやらしい目でなんか見てない!ちょっとだけしか見てないいいいいっ!」って訴えるのも酒ブーーーーーーーーッ!!って噴いちゃうのも「芝居したいな・・・」ってつぶやくのも、もう何もかも可愛い!。稽古場でも寮でも常にちょこまかちょこまか動いてる印象で、父親が女形の旅役者なんでちょいちょいそれっぽいシーンがあるんだけど、相変わらず身軽ですごい躍動感なんだよね。なんか見ててついつい笑顔になっちゃうの。みゆの長谷川は1000%『可愛い』で出来てますっ!!。
つーかオバちゃんとのラブシーンのハセがめったくそ可愛いのなんのって!!!。踊り出したオバちゃんに合わせるみゆハセの不器用ってかどんくさダンスっぷり超タマラン!!。
ハセってさぁ・・・ハセって・・・アイドル(マスコット)枠だったんですね!(←泣きながら)。
でさー、本編中は誰よりも汗ダクになりつつ誰よりも可愛いアホ男子なのにさー、カテコは超クールで一番大人とかどうよこのギャップ!!!???。みんな両手振ってんのに片手をちょいちょいって軽く振るだけなんだぜどうよこれ!?????(ドヤァw)。


そしてそしてガウチの星野さん。星野さん最高に可愛くて最高にオトコマエだった。
星野さんはさぁ・・・宝塚男子部を辞めると決意した星野さんはさぁ・・・本当は誰よりも宝塚の舞台に立ちたかったんじゃないかなぁ。男子部に入る以前から曲がりなりにもダンサーとして活動してた星野さんの9年間って、他の人たちの9年間とはちょっと意味ってか重みが違うと思うんだ。だから男子部の解散という結末が一番堪えてるのって星野さんなんじゃないかなーって。だから星野さん入魂の、全ての想いが込められた最初で最後の本気ダンスが哀しいのです。かっこよければかっこいいだけ、その分切なさに狂いそうになる。立ち位置変える時に上原や竹内と頬笑みながらアイコンタクトするのにときめきを覚えながらも切なさに胸が押しつぶされそうになるのです。なんでこんな結末になってしまったんだろうね。
ガウチの星野さんは歴代で最も若い・・・っつーかはっきり言っちゃうとガキっぽいんですよ。だからこそ9年間ズルズルと居心地のいい男子部に居続けちゃったんだろうなーって思うのね。それだけに悔しさと俺なにやってたんだろうなぁ・・・って虚しさがすっごく伝わってきて、なんとも言えない気持ちになる。
カーテンプレイ超絶かわいかったなー。公園シーンの監督っぷりも超アホかわいかった。俺朝弱いんだよぉ〜〜とかマリア役やってぇ〜とかってオバちゃんに上目づかいで甘えんのとかムカつくかわいかった(笑)。
千秋楽のレビューで最後のポーズ決める前にステージ後方に向かって(客に背を向けて)「っしゃーーーーーーっ!!」って絶叫し、そんなガウチにみんなが改めてビシイイイイイッ!!と気合入れなおした瞬間、わたしの観劇史上一番出たんじゃ!?ってぐらい涙がダバダバ溢れました。あの瞬間ガウチどんな顔してたんだろう。
ミュージカルオタ(浦井くんオタ)の友人がガウチのことを「いい意味でアクの強い人だね。華の種類がエグイ。若手でこういう個性の人ってあんまいないよ」って褒めてくれて(え?それ褒めてんの??っつったら「うん。結構本気で褒めてる」って)うれしかったなー。
ガウチの星野さんだいすき。星野さんのガウチだいすき。