月原 渉『月光蝶 NCIS特別捜査官』

月光蝶―NCIS特別捜査官

月光蝶―NCIS特別捜査官

はじめての作家さんです。
日本にありながら日本ではない場所であり、その出入りは厳重に管理されている横須賀の米軍基地という『密室』。その“外”が殺害現場だと思われる遺体が“内”で見つかり、続いてその逆と考えられる事件が起きるが、被害者が基地を出入りした記録がみつからない。そして容疑者として浮かび上がった人物もまた“内”で不審死を遂げる。基地内=米国 基地外=日本。二つの国にまたがる連続殺人はいかにして、誰が、何のために行ったのか。
とまぁこんな話なのですが、タイトルに「NCIS特別捜査官」とあるわけですから米軍視点の物語かと思いきや、日本側というか、基地の『外』視点として市役所の「基地対策課特別室」という部署に属する女性の視点でも描かれているので、そこにどんな意味(意図)があるのかと楽しみに読み進めていたのですが終わってみればほとんど活かされなかった・・・というかタイトルってそっちの意味かよー!と思ったところでさらにもう一つどんでん返し!!
所謂「真犯人」は早々にあたりがついちゃうんですよね。だから前述の通りその犯人が犯した罪をどう扱うのか、それを日米双方の視点で描くのかと思ってて、そこで恐らく「動機」の話になるんだろうなぁと、そんな予想をしてたんだけど、動機も、それからその先にあった真実も、私の想像が及ばないものでした。そういう意味ではタイトルこそが最大の仕掛けだと言える。
動機は結構捻ってあるのでなるほどねーと感心したんだけど、その先で一気に陳腐化してしまったので後味的には好みではありませんが、でも面白かった。他の作品も読みたい。


ところで、この本とは全く関係ありませんが、NCIS(米海軍犯罪捜査局)の捜査官と言えば私にとっては五條瑛さんの鉱物シリーズに登場する坂下冬樹なわけで、鉱物シリーズ読みたいよおおおおおおおおおおおおお!!と叫んでおきます(笑)。