大倉 崇裕『夏雷』

夏雷

夏雷

大倉さんが描く「山岳」「ミステリー」は相変わらず真っ当というかストレートだなぁ。
私にとって大倉さんは徹頭徹尾「趣味の人」という認識なのですが、怪獣とか落語とかそういう“娯楽”を題材にしたものと雰囲気は全く異なるものの、対象への愛というか本気度というか、そういうものはこっちの作品でも変わらない。根底にあるものは同じだと私は思うのです。その姿勢がとても好きだし尊敬します。
この作品を「山岳ミステリー」と表記しなかった理由は山とミステリーが直接結びついていないというか、コレ「山岳」パートが例えば「海」でも大枠は変わらないよね?と思ったからなのですが(まぁ海だとモロモロが残ってない可能性が大なのでそこへ向かう動機としては無理があるでしょうが)、でも「山岳」でなければならないオーラは感じる。だって山が好きだからというオーラを感じるのです。