大倉 崇裕『秋霧』

秋霧

秋霧

序章で描かれていることがこういう形で巡り巡って「霧」と呼ばれるプロの殺し屋VS元自衛隊特殊部隊員VS権力者の私兵による三つ巴の殺し合いに発展するとは。
そしてそれを繋ぐのが一筋縄ではいかない便利屋の男・・・というわけで、この便利屋の男が「夏雷」で主人公だった倉持で、元自衛隊特殊部隊員が「凍雨」の主人公である深江になります。あとスポット参戦的に警視庁いきもの係シリーズの日塔も登場するんで、山が舞台となることも併せて大倉崇裕愛読者としては昭和的表現をするとシングルA面ではなくB面を集めた裏ベストアルバムってな感じの作品です。
物語の中心となるのは謎の殺し屋「霧」の正体というか、確固たる存在感と魅力を放つ深江と倉持に対しどんな人間であるのか?ということになりますが、これはもう登場した瞬間に「こいつだろ」と予想がついてしまうし実際その通りだったけど、そうだろうと思っていても「霧」が最後の一人を仕留める場面は予想外というか、まさにクライマックスに相応しい「画」だった。
どうやら倉持と深江はコンビ結成となりそうだし、「霧」の再登場含めまた楽しみなシリーズの誕生です!・・・と言っていいんですよね?。