冲方 丁『もらい泣き』

もらい泣き

もらい泣き

小説すばる」上で連載されているものをまとめたもので、冲方さんがあらゆる人々から聞いた「泣ける話」を基に書かれたショートストーリー集です。つまりベースは全て実話。
なんかもう、そんな話あんのかよ、若干盛ってね??と思ってしまうようなものもあったりするんだけど、でもそういうことってあるんだと思う。だから人間は生きていられるのだと思う。
そんな風に思わせるだけの“想い”が詰まってる。
とはいえそれは話をしてくれた“当人”の“思い出”であり“ネタ”であって、捻くれ者の私は通常であれば「へー」とか「ふーん」とかそんな風に思うだけってか「ただ読むだけ」でさして心が動かされるようなことはないんだけど(つくづく心が貧しい人間だと自分でも思います・・・)、この本に収録されている話はどれもこれもがやたらジクジクします。ジクジクしてほんわりする。
多分それは冲方さんというフィルターを通しているからだと思う。
冲方さんの人に対する優しさと愛おしさで出来たフィルターを通すとどの話も心にそっと届く気がする。
中でも「女王猫」はヤバかったー。もう想像しちゃって無理―。やっぱり動物ネタには激弱(笑)。