長澤 樹『消失グラデーション』

消失グラデーション

消失グラデーション

第31回横溝正史ミステリ大賞受賞作です。帯に書かれた選考委員のコメントがもう大絶賛の勢いで、馳さんはともかく(笑)、北村さんの『誤りなく組み上げられた建築である』、そして綾辻さんの『歴代受賞作の中でも三本の指に入る逸品!』に惹かれ信じて手にとりました。ちなみに三本の指に入る残りの二本は何なんですか綾辻さん?(笑)。
この賞に限らず各ミステリ賞の受賞作ってのは(大抵)イコール新人作家の作品なわけで、書きたいことを伝えるための表現に多少の強引さというか粗さがあるのが当然だったりするもんなんですが、これはそういう意味での引っかかりを覚えるところがほぼ皆無だし、高校を舞台に高校生が自分たちの手で謎の解明にあたるプロセスも段階の踏み方・内容(高校生の手に負えるレベルかどうか)ともにまさに“誤りなく組み上げられ”ていて、ちょっと凄いかも。
しかもミステリではなく青春(スポーツ)小説としても充分読み応えがある。この時期特有のアンバランスな感じが痛いぐらい凝縮されてる。
・・・・・・・・・と思ってたのにほんとうにアンバランスでした(笑)。私が一番気に入ったキャラである男バス部長が実は一番まともだったなんて(笑)。