友桐 夏『星を撃ち落とす』

星を撃ち落とす (ミステリ・フロンティア)

星を撃ち落とす (ミステリ・フロンティア)

タイトル買いの初めての作家さんになります。ミステリ・フロンティアからの刊行なんで新人さんかと思ったら、著者紹介に「コバルト・ロマン大賞に佳作入選しデビュー。07年までに4冊のミステリを発表し、これが5年ぶりの新作」とありまして、なるほど、だから結構巧いんだ。
女子校生たちの稚拙で密接な関係性、その中にある微妙で複雑な感情を描いた物語で、最近直木賞を受賞した女性作家の作品たちを想起させますが、少女たちのドロドロとしたあれやこれやはそちらの方が深いけれど、こっちの魅力はそのドロドロを“ミステリ”に絡めてるってところ。一方からはそうとしか見えなかったものがもう一方から見ると全く逆として見えているってのは“明らかになる真相”の描き方としてよくあるパターンだけど、そこに女子校生ならではのエグさが加味されてるところが巧いなと思った。言い方悪いけど“元凶”に一切語らせず、誰もが最終的に自分が納得できればそれでいい・・・という描き方も私の好み。
恩田陸さんの作品が好きな人にはお勧め、かな。