平山 瑞穂『偽憶』

偽憶

偽憶

「記憶」をテーマにした物語なのですが、鍵となる記憶が二重構造になっていて、なかなか読み応えがありました。小説なので記憶の「不確かっぷり」はかなり凄い・・・というか、さすがにそれは・・・と思ってしまうレベルではありますが、自分の都合のいいように忘れていたり改竄してたり美化していたりってのは誰しも経験があることだと思うし、それにそもそもの発端である出来事が加害者と被害者にとってこうまで違う記憶として残っているのかってのは、出来事の大小問わず身近に感じられることなだけに恐ろしくなりました。
プロローグと本編の雰囲気が全く違うので、あれが本編とどう繋がるのだろう?思いながら読んでいたのですが、心情的に理解はできるし綺麗に終わってるとは思うものの、いきなりいい話になるから笑ってしまいました。本人たちがいいならそれでいいのだろうけど(笑)。