中村 文則『掏摸』

掏摸(スリ)

掏摸(スリ)

どこかチープながらも(それがまたリアル)抗いようがない圧倒的な悪を描いた本編を読みながら、幸せってなんだろうとか生きるってなんだろうとか考えて、そして全て投げ出したいような気持ちになってしまったのですが、あとがきの中に書かれていた

全てに満たされているのなら小説は必要ない

という一言を読み、ストンと居場所が見つかった気がしました。
そうか。私は満たされていないのかと。


この本を読んでから電車の中や人ごみが怖くなりました。人とちょっとぶつかったりすると思わず財布のありかを確認してしまいます・・・。