『侍戦隊 シンケンジャー』第三十九幕「救急緊急大至急」

結局のところイケメンヒーローがかっこよければそれで大概のことは我慢できるってか呑み込めるわたしでも、今回はさすがに無理です。何から何まで酷すぎだろうとしか言えません。特撮における特大好物である裸包帯、それも殿の裸包帯があったってのに一ミリもときめけなかったとかどういうことよ・・・(まぁこの包帯を巻いたのが茉子さんで、しかもボロ小屋に二人っきりだったってのが大いに影響してることは認めますが)。良かったことと言えば寿司屋に喧嘩売る灰被った千明の狂気染みた表情ぐらいだったけど、後述するけどその描写も結果的にヒドイもんだったしね・・・。
まずさ、“ある島の住人と連絡がとれなくなり様子を見に行っても戻ってきたものはわずかしかいない”って情報を、“誰が”“何故志葉家=シンケンジャーにもたらしたのか?”ってとこからして疑問なんだけど。隙間センサーが反応したわけでもなかったよね?。これまでもこういう形でシンケンジャーが出張するような回があればまだしも、なんでいきなり殿たちが全員でよりによって船なんて交通手段でしか行けないところに出張るのか?ってところで引っかかったもんね。つーか戦隊にこういう突っ込みするのは野暮以外のなにものでもないんだけどさ、殿たちが全員で島に行っちゃった隙にいつものように隙間センサーが反応したらどうすんだっての。山奥なら馬飛ばして戻ってこられるかもしれないけど島よ?こういう場合はまず黒子ちゃんを送って探らせ・・・ってそれじゃ話にならないからそれこそまずは千明と寿司屋を偵察に行かせ、いつまで経っても戻ってこない二人を心配し残りのメンバーも島へと向かったところで灰被った二人が襲ってくるとかさ、そういう展開にするもんじゃねーの?。シンケンジャーが操られるなんて美味しいエピソードをただ殿を孤立(一人で戦わせる)させるためだけに使うとか太っ腹ってよりもアホだろうと。話前後しちゃうけど、この島に異変が起こってるってのもあの一人だけ正気を保ってた子供(いきなり薄皮姐さんの前に飛び出してたけどあれ何がしたかったのかサッパリよね・・・)がヒロみたいに志葉家のなんらかの関係者で、あの子が知らせてきたってことにすれば前述の何でシンケンジャーが調査に出張ったのか?って疑問も解決するし子供がバケモノ(姐さん)に向かっていったのも分からんでもないし、何より志葉家の関係者ならば一人だけ正常だったことに一応の意味づけができるじゃん。島で起きたことを殿たちが知るために最低でも一人は事情を説明できる正気の人間が必要だとして、それにしたって今回のあの子供の描写は適当と言わざるを得ないだろうと。
で、適当と言えば千明&寿司屋コンビと流ノ介&ことはコンビの扱いな・・・。殿を一人で思い悩ませるためにうるさい流ノ介たちから引き離したかったのは分かります。そのためになんらかの方法で(シンケンジャーとしての)活動停止にする必要があったのも分かります。二組揃ってやられて気を失わせるってのは芸がないからと片方を島の住民同様操られ状態にしたってのもまぁいいよ。もっと上手くこのネタ使えよとは思うけどそれは飲み込もう。でも4人が何事もなかった顔で「殿、お待たせしました!」なんつって現れたのは何なんだって。殿がナナシ虐殺してるシーンをほんのちょっと削れば二組が正気に戻るシーンを入れられるだろう。メイン以外の扱いがおろそかになるのはある程度仕方のないこととは言え、今回は仕方ない範囲を超えすぎだと思った。
でさ、そうまでして描いた殿のモヤモヤうじうじツンツンってのがまた微妙なのよね・・・。悩みモードに入るのが唐突すぎるってかさ、このところ殿の表情があきらかに柔らかくなってきてるしもはや殿と家臣という関係ではなく仲間だよねってな雰囲気になってきてるのは明白なわけじゃん。それはそれこそ「命の預け合い」をしたから、つまり信頼しあえるようになってきたゆえのことであって、それは決して悪いことではないし、殿自身もそう思ってるからこその最近のデレ、なんだと思ってるのに、十臓の言葉一つですぐ揺らぐとかなんだよソレと。つーかこれが一番理解できないんだけど、十臓おめーは殿に完敗してるだろうがと。そんなおめーが何偉そうに殿に弱くなったとか言ってんだっつの。わたしは殿の中で十臓さんのことは終わったこと、本当のところ十臓さんが言う「殿の歪み」ってのが何だったのかははっきりしないわけだけど、わたしなりに解釈した歪み(なにがなんでも己の命を守らなければならない立場にありながらも心の奥底ではいつ死んでもいいという心持ちで戦いに挑んでいるその姿勢)は乗り越えたことなんだと思ってたわけですよ。十臓さんも殿も「強さを求める」という意味では同じなんだけど、その「強さ」の質は十臓さんと殿とでは全く違うってことに殿は気づいてるんだと思ってたわけです。十臓さんを倒して以降の仲間たちとの戦いによってそのことを理解したんだと思ってたわけです。だからこそデレることを恐れなくなったんだと思ったの。十臓さんが殿が弱くなったと言うのは一つの見方として理解はできます。十臓さんにとっての強さとはただ剣の腕であり死ぬことを恐れない(むしろ望む)想いということなのだろうから、守るべき(守りたい)ものが出来た殿は十臓さんからすれば「弱くなった」ってことなんだろうとは思う。でもそれは十臓さんの言い分であってさ、殿はもうそんな「志葉家当主という立場」を抜きにして一人の男として斬り合いを求めるような時期は乗り越え、むしろ守るべきものがあるからこそ人は強くなれるって言い返せるようになってていいと思うんだよなぁ。殿の性格からしてそこまでストレートに言い返すのは無理だとしても、まだそこまでははっきりとは意識してないとしても、かつての殿とは絶対に何かが違ってるはずなんだから、その片鱗を見せてもよかったと思う。だって十臓は殿にやられて海に落っこちた後は基本裏正が折れたー><ってへこみながらも殿との戦いを反芻してニヤニヤしてただけよ?しかもアクマロさんの手によるものだとは言えども裏正ではない刀を手にしてるってのに、まるでそんな十臓よりも殿が劣ってるみたいな描かれ方は納得いかないわよ。なんで“まだ自分が戦う価値は残ってそうだ”とかなんとか十臓の方が上目線なんだっつの。そんな奴に十臓との戦いの後も仲間を率いて戦い続けてる殿が弱いと言われて言い返せないだなんて認めたくないじゃん。それなのに殿ってばうじうじ悩んでさー、なんか十臓さんと戦ったあの時に戻ってしまったというか、言い方変えればもしかして殿はあの時からほとんど成長してないんですか・・・?とすら思ったもの・・・・・・。自分達と一緒にいることが殿にとっても普通になりつつあるんだろうみたいなことを茉子さんに言われ、強い口調で「違うっ!」って拒絶してたけど、茉子さんたちと殿の間にある“違い”ってのは唯一ドウコクを封印することが出来る存在であることと繋がってるんだろうし、殿にはまぁもうちょっと秘密ってか抱えてるものがあるんだろうけどさ、それがなんであれ、一人で戦ってた頃と違って今は命の預け合いをした仲間がいるわけだし、寿司屋の力を見れば分かるように少なくとも先代レッドの時と比べて明らかに進化してるわけだし、どんな重責を担ってるのかしらんけど今の自分(達)ならば立ち向かえる!ぐらいの意気込みでいて欲しいわ・・・。
つーかなぁ・・・茉子さんの言葉で今すべきことは「この世を守る」ことだと再確認した風だったし、思わず(殿ってば・・・非道・・・・・・っ!)と思ってしまったほどのナナシ虐殺っぷりは十臓の言葉に一瞬でも心動かされてしまった自分に対する怒りからの行動なのかと思ったんだけど、だとしたらあの場は十臓ごと祭壇をぶち抜くのが正解だったと思うんだよなぁ。てか「撃っていいぞ」と言われたら「お前に言われずともそのつもりだ」って言い返すのが“今の殿”だと思うのよね。でも殿はそうしなかったし、一本締めもせずにその後も一人で触らないでくださいオーラ放出しまくってたんだよなぁ(これだけ殿の様子がおかしいのにキャッキャしてる男どもってばもう・・・馬鹿なんだからっ><)。てことは殿はまた自分の殻に閉じこもっちゃう系でしょ?。殿の殻は当然家臣たちが今更何言ってんだとっくに覚悟は出来てるぜ、なんつって強引にぶっ壊すんだろうけどさ、これまで殿の内面描写をさほどしてこなかったツケがいよいよ回ってきたというかねぇ・・・まぁ正直言っちゃうとトーリの演技力のなさってのも一つの理由ではあるんだろうけど、これだけデレておきながらまだ殻被ってたんかい!!じゃあこれまでの戦いは何だったんだって!!って感じよなぁ・・・。
ようやく腰を上げるらしきドウコクさんもなぁ・・・・・・・あれシンケンジャーに対してどうこうってんでなく、いい加減太夫の好きにさせておくのも我慢の限界、つまり嫉妬心からの行動ってことでしょ?。途中まではドウコクさんと薄皮姐さんと十臓さんの関係性を筆頭に外道衆サイドの話も楽しみにしてたけど引っ張りすぎてもはやどうでもいい気分・・・。敵サイドにここまでまともなパワーアップがない戦隊ってのもちょっと珍しいんじゃない?。


あーもうこんなことネチネチ書きたくないのにー!だったら書かなきゃいいじゃんってな話なんだけどさ、シンケンジャーという作品が(まだ)大好きだからこそよくも悪くも熱くなってしまうのです・・・。どんな形でもいいです。もうわたしが思い望むような形でなくとも構いません。とにかく燃える展開を早く!お願いだから殿は早く悩みモードから脱出してください!!。