東 直己『抹殺』

抹殺

抹殺

埼玉県の北部・薪谷市に住む宮崎一晃は、40代半ばで画家を生業にしているが、シュタインブルク=プレ症候群というゆっくりと全身が麻痺していく国が指定した難病に冒されている。現在のところは数歩であれば伝い歩きも出来るし、車椅子からの移動もある程度なら自分の力でこなせるが、やがて身体が動かなくなることは自覚していて、月150万で雇い入れた介護人兼愛人の篤子とともに穏やかな日々を過ごしている。そんな宮崎には、実は篤子もしらない裏の顔があった。金で繋がっているだけの関係だと自分に言い聞かせる二人だが、共にだんだんとそれだけではないことに気づき始め・・・。


いわゆる必殺仕事人タイプの作品です。車椅子の人間というのは現場にいても盲点になるというちょっとした皮肉雑じりの設定がちょっと面白いですが、話は定番。でも背後にいる(依頼の経路)のが国家組織となるとさすがに笑ってしまいます。いつもほど激しい警察批判描写はありませんが、特別書く必要がなさそうなところであくびをするような感覚で警察の腐敗をさらっと入れたりするところに相変わらずのアンチ警察魂(笑)をみました。
ものすごい美人でスタイルがいい(この設定が既に・・・)篤子に宮崎のことを「センセ」と呼ばせ、自宅だけならまだしも(それでもちょっとオカシイと思うけど)旅行先のホテルでも篤子を全裸で生活させたがるあたりに親父特有の欲望というかロマンを感じました。夢を見るのは自由ですが、センセと篤子のラブは進行しようがしまいが心からどうでもいいです・・・。
宮崎の病気をググっても出てこなかったんだけど、これは架空の病気ですよね?