- 作者: 香納諒一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/05
- メディア: 単行本
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ひっさしぶりにここまで読み応えのある作品に出会いました。これまで私が読んだ香納作品とは真逆と言っていいほどタイプの違う作品らしき上に、値段が3,000円となると買うまで2週間ほど躊躇した私ですが、断言します。確実に3,000円の価値あり!これ絶対読むべき!
猟奇的殺人鬼=サイコ、狙撃者=ハードボイルド、孤独な刑事=警察小説・・・って言っちゃうとなんか安っぽそうですが、いろんなジャンル(ジャンル分けの問題は置いといて)の美味しいところをちょっとづつつまみながら、それが無理なく違和感なくミックスされているという感じ。あまりにも要素を詰め込みすぎちゃったもんで、人物の背景や何本もある横軸のエピソードの描写が若干不十分、それから謎とされる存在(これが誰なのか、というのは早々に分かってしまいます)が遂に現れたあたりからの描き急ぎっぷりが気になるところではありますが、それでも充分堪能できました。作者の気合というか、気持ちが伝わってくる作品だと思った。題材は猟奇殺人だし、内容的には決して楽しい話ではないけれど、気分良く読めました。
たださー、この装丁はどうにかなりませんかね?ここ何作かは結構オサレな売れ線系だったのに、これじゃ売れるものも売れないと思うわけです。