初演は未見。ついでに言うとNODA・MAPも初。なんとなーく疲れそうなイメージがあったんですよ。でも今回は、話の内容と古田さんと右近さん目当てで、NODA・MAPの壁をぶち破ることにしました。
席は1F後方の下手側。セットのショボさ・・・ではなくてシンプルさにビビる。でも始まってビックリ。この演出、好きです。場面転換がスムーズだし、想像する楽しみがある。目まぐるしい舞台転換と役者の動きが、あの時代の疾走感と躍動感を感じさせてくれたし、エアークッションも全てを覆いつくし無にする雪として効果的だったと思う。衣装チェンジ以外、出番のない役者は舞台周りに雑然と置いてある椅子(自分お気に入りの椅子?)に座って、観客と一体となり舞台を見つめながら、効果音を自らの手で作りだすのですが、気が抜けない緊張感がストーリーと相まってピリピリ伝わってきました。
思ったよりも全然内容が分かりやすくて疑問に思うこともほぼ無く、内容的に正しい表現ではないかもしれないけど、物語としては面白かった。才谷を演じた古田新太と都を演じた段田安則はさすが。都には淡々とした中に狙った獲物は逃さないキレ者オーラがあり、才谷には愛らしさとしたたかさと強さがありました。あと印象に残ったのは、英の父、聞太左衛門を演じた中村まことさん。軽やかで、バカで切ない。松たか子の三条英は、気負いすぎな感じがしましたが、融通が利かない信念の人というのは伝わってきた。ただ、人二人を殺してしまった後、精神的に追い詰められていく姿に血が通ってないなぁという気がした。だからその後の回心とラストシーンの「愛しています」も、心から救われたいという思いは伝わってこなかった。美しくて凛々しかったけど。
舞台の両側に客席があるという構造上、座ってる席と反対側に向けてセリフを喋られると聞こえない時が多々あったのが残念でした。あと、右近さんやマギーあたり、細かい手作業をしてそうだったんだけど、そこまでのチェックが追いつかなかったことが悔やまれる。これはあれですか。席の場所を変えて何度も見ろと、そういうことですか。
見終わって、思想・理想の為に罪を犯すということの意味を改めて考えながらパンフレットをめくるとそこにいたのは「ちん毛ボーボーTシャツ」を着て微笑む古田さんでした。アハハハハ・・・・・・。