東 直己『英雄先生』

英雄先生

英雄先生

ボクサーとしての夢に破れた池田は、故郷の松江に戻りうだつのあがらない私立高校教師をしていた。ある日、教え子の女子生徒が失踪し、それと同時に東京から仕事の為に戻ってきた幼馴染みが変死体で発見されたことを知る。どうやら二つの事件には関係があるらしい。偶然知り合った事件を追うフリーライターのペースに巻き込まれた池田は、可愛い教え子の頼みもあり、失踪した女子生徒を探すことになったのだが、事件の背景には洗脳集団の影が・・・。


内容は畝原シリーズの焼き直しのような気がしなくもないですが、語り口も舞台も異なるのでまぁいいか・・・といった感じ。そしてやはり警察嫌いは無駄に熱くアピール。
ストーリーは定番なんだけど、起承転結の転の部分がちょっと笑える。主人公と同時に(えぇぇぇぇぇぇ!)てなりました。なんでそこでそいつが出てくるよー!って。一応の伏線は張ってあるわけですが、それでも(えぇぇぇぇぇぇ!)だった。主人公の教師を筆頭に、フリーライター、教師と肉体関係を持っている教え子の女子生徒(失踪女子生徒の親友)、退学した元教え子で、見た目はワルだが結構素直で熱い男子高生(失踪女子生徒の彼氏)それぞれ分かりやすい個性の持ち主で、特にフリーライターはちょっとスゴイ。ストーリーの定番さをフリーライターの背景というか属性?と男子高生との緊迫感のないやり取りが救ってくれます。
同じようなテーマなのに畝原シリーズの重苦しい読後感とは正反対で、書き方によってこんなにも違うんだなぁと、それがなんだか面白かった。