大人の新感線『ラストフラワーズ』@赤坂ACTシアター

古田新太阿部サダヲというそれぞれの看板俳優を筆頭に劇団員ほぼ総出演のみならず、松尾スズキが脚本を描きいのうえひでのりが演出するというまさに大人計画と新感線のガチンコ勝負!!!ときたらどれだけ期待してもし足りないぐらいなんだけど、正直期待したほどじゃなかった・・・・・・かな。
もっとこう、見たことがないような「新しいもの」を観れるんじゃないか、と思ってたというか、現在の日本商業演劇界を背負って立つ二大劇団が『一つになって』作品を作ってくれるんだと思ってたんだけど、大人計画の良さであり新感線の良さはあったもののそれが混じりあうわけでも引き立てあうわけでもなく、逆に大人計画の毒と新感線の派手さと外連味が薄まっちゃって、蓋を開けてみたらおせち料理のような感じだった・・・という印象です。

出てくる人出てくる人全員「パネエ」わけで、そのパネエ人たちが万遍なく如才なく見せ場を与えられていて、それをさすがの個性でキッチリ魅せてくれるのですから豪華は豪華なんですよ。でもその豪華さは予定調和っつったらちょっと違うかもだけど、お馴染みの感じなんですよね。そして余所行き。全員がちょっとずつセーブしてる気がして(気持ちの話ではなく演技のスケールというかクドさというか)、まぁそれは手堅いということでもあるのでしょうが、全員の魅力を引きだそうとした結果パッと見は「わあっ!」って思うんだけど三が日食べ続けたら飽きてしまうまさにおせちのような舞台だなと。

で。
そんな舞台をまとめてみせた・・・というよりも包んでみせた、と表現すべきだな、包んだのが星野源の『歌』だった。

もーうなんだろうなぁあの時感じたものは。背後で殺し合いをしてる中、隣でタンバリン叩いて踊ってる紙ちゃんも合わせて源ちゃんがギター抱えて舞台の上で元気に歌ってるというその事実そのものがこの舞台の・・・破滅の先にある希望というか、破壊の中にある意地というか、そんなものを象徴している気がして、しょーじき頭のみならず心でも理解できたとは言い難いんだけど、それでも、それでも源ちゃんの歌に目頭が熱くなってしまったわ。

あと特筆しておくべきこととしては、いつも以上にその魅力を発揮してたサンボ君ですよ!!。サンボ君大活躍すぎ!!。もうめっちゃアクションしまくりで、かっこいい・・・・・・・・・くはないんだけどw、溌剌として勢いありまくりのサンボ君には素直にピギャー!!。
あとフライング粟根さんねw。もう眼帯&白衣のマッドサイエンティストってだけでウハウハなのにワーワー喚きながらフライングする粟根さんは眼福でしたw。

そしてこれだけのメンツの中でやっぱり古田新太のオーラと阿部サダヲの華は際立ってるなと。もちろんそういう脚本であり演出ではあるのでしょうが、ここぞというところでこの舞台上に存在している沢山の個性をぐぐっと吸収しくるっと丸めてボーンと投げ返す説得力よ。古田新太阿部サダヲがそれぞれの劇団を背負いながら二本柱として立つ舞台ってのはやっぱ観てよかったなって思うよね。