東 直己『ライト・グッドバイ』

ライト・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリワールド)

ライト・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリワールド)

ススキノで何でも屋を営む〈俺〉の元へ、馴染みの退職刑事から突然の連絡があった。その内容は「女子高生を殺した(と思われる)容疑者と親友になれ」というものだった。断るタイミングを逃した〈俺〉は、バーで偶然の出会いを装いそいつに近づくことに成功する。それは、生涯最低の冬の幕開けでもあった。

〈俺〉シリーズ。畝原シリーズといいこのシリーズといい、警察に対する侮蔑と嫌悪と、未成年が犯罪に関わるというのがもはや定番になりつつある感じ。シリーズキャラクターに魅力があるので読めるけど、単体としては食傷気味というか、もう分かったから・・・という気分になるのも確か。
変態容疑者男が〈俺〉に送りつけるメールがやけにリアルで、気持ちが悪い。そして、こういう人物が現実において決して珍しくない、決して誇張されてるわけではないと思うと、更に気持ちが悪くなる。被害者と目されている少女のことはほとんど描かれず、ただひたすら変態と〈俺〉との関係性だけを描くことで、全編通してその気持ち悪さが持続するというある意味拷問のような読書時間だった。
最後は取ってつけたようにハードボイルドして終わるわけですが、ヤッベー「LとR」の意味は分かるんだけど、この会話における意味が分からない・・・。単純に「R」は当たり前ということで「L」は光ということでいいのでしょうか。


途中、変態男の名前の漢字がしばらくの間思いっきり間違っていたのが気になりました。こういうのって、見落としたりするもんなのかなぁ。