新堂 冬樹『聖殺人者』

聖殺人者

聖殺人者

悪の華」の続編。初めて愛した女を自らの手で殺したガルシアは、殺された叔父の店を引き継ぎながらも日々仇であるマイケルへの復讐だけを望んでいた。そんなガルシアの前に現れたヤク中の女。そして言葉を話せないイタリア人の美青年。1ヶ月後にはイタリアに戻り、マイケルへの復讐を果たすつもりだったガルシアだが、またしてもヤクザとの争いを選ぶ。なぜならガルシアは選ばれた男達「マフィオソ」だから。


「トゥリガー」でたー。新堂版ゴットファーザーの続編です。つっても舞台は新宿なんですけど。悪の華のラストで片桐がもってきたバックの中につめられていた札束を持ってイタリアに渡り、マイケルに復讐する話になるのかと思ってたら、まだ新宿にいましたよガルシアさん。
悪の華では復讐費用を稼ぐ為にヤクザと闘ったガルシアが、今度はマフィオソのプライドの為に闘います。今回の相手は両党使いの変態ヤクザと暗殺者として育てられた心のない美青年。この設定でピンとくる人もいるでしょうけど、当然ホモシーンあり。新堂はデブで醜悪な男に美青年を犯させるの好きだよなー。


以下↓軽くネタバレあります。新堂なんでネタバレなんて大層なもんじゃないですけど、一応。




悪の華でナイスな妄想を爆発させてくれてた片桐の弟が登場。これがまた兄貴似のナイスキャラ。通称(自称)赤羽のシャチですよ。どんぐらい凄いんだか分かんねっつの。話の都合上、誰かがイタリア人との共通言語を話せないとなんなかったのは分かるんだけど、こいつが英語ペラペラってのがどーも納得いかない。英語が話せて兄貴が若頭なんて、ヤクザ社会じゃちょっとしたもんなような気がするけどなぁ。ちなみに兄貴の通称(自称)は新宿の虎だったかな。兄弟揃ってアホですわ。この手のキャラを描くことにかけてはもはや職人の域に達してると思う(それを人はワンパターンと言う)。
ナイスキャラといえば、今回ターゲットとなるヤクザさんのビジュアルが凄い。サーモンピンクのスーツに黄色のサングラスに金髪ロンゲ。どんなやねん。
やってることは悪の華と同じでヤクザと暗殺者の単なる撃ち合いってだけなんだけど、悪の華が憎しみの物語だとすれば、聖殺人者は愛と哀しみの物語・・・だと思う。ちょっと「アサシン」入ってます。
暗殺者として洗脳されたジョルジオが猫を助けた理由や、聖に誰の面影を重ねてたのか・・・など、もっとジョルジオの過去(内面)を丁寧に描いていたならば、ちょっとばっかりいい物語になったと思う。
まぁ、全くもって新堂にいい話を求めてないんだけど。