中野 順一『クロス・ゲーム』

クロス・ゲーム

クロス・ゲーム

サントリーミステリー大賞受賞後第一作(受賞作は小西真奈美柏原崇主演で映像化)。
仮想世界の中で愛と憎しみが生まれる。
全裸で殺されたヤミ金融業者と、絞殺死体で発見されたOL。それぞれの恋人は独自に事件を調べようとする。やがて、二つの殺人事件がオンラインゲームを軸に結びつく。


内容と装丁があまりにもかけ離れすぎていて、さすがにコレはどうよ?と思った。ゲーム=孤独ってな表現なのかもしれないけど、この装丁は売れねーよ。売れても売れなくても関係ないけど。
RPGに全く適応性がない私は、RPGオンラインゲームってものに対して嫌悪というほどでもないけど、あまりいい感情をもっていない。ものすごく閉鎖的な感じで得体の知れないものだと感じている。実際のゲームがどんなもんなのかやったことがないからあくまでもイメージなんだけど、勇者とか騎士とか賢者とかなんじゃそりゃ恥ずかしくない?って感じだし、アイテムを集めないと先へ進めないとか、秘密の扉とか通路とかまだるっこしーなーと思ってしまう。現実には楽しいことがないからなのか知らないけど、暇さえあればゲームの世界に没頭して寝不足になるとかそういうのって、やっぱり分からない世界だ。そんな私なので、この話の中で描かれる殺人事件の動機や思考パターンが分からなくて当然なのだと思う。あとネット心中とか(この話の中でもちょっとだけ出てくる)。警察より先に素人が何でそんなにアッサリ犯人にたどりついちゃうんだよー!ご都合主義すぎだよと思うけど、きっとああいう人たちは独自のセンサーが働くんだ、そうに違いない、怖。
とはいっても、このストーリーは強引すぎる。キーパーソンであるゲーマーの女なんて、行動原理が頭おかしいとしか思えないし、ヤミ金側もどんなツテなのか知らないけど、情報収集力高すぎる。お前(実際に調べるヤミ金男のバカ彼女)なんもしてないじゃん!たまたまツテがある人知ってましたとかって、簡単すぎない?と思った。
強烈な動機に交換殺人ってものよりも、オンラインゲーム=インターネットにハマるという行為そのものが主題なんだろう。きっと作者も不思議に思っているのだろうなぁ。ラストを読んで、そう思った。