小笠原 慧『タロットの迷宮』

タロットの迷宮

タロットの迷宮

位置づけとしては「サバイバー・ミッション」の続編にあたるのでしょうか。特別捜査官・麻生利津と人工知能ドクター・キシモトが閉鎖された空間(法を犯した精神障害者を収容・治療する医療観察施設)でおきた殺人事件に挑むという話。幾重にも張り巡らされた警備システムによって閉鎖された空間、被害者の謎めいた美人女医に残された恋人は容姿端麗かつ有能な医師、物語の鍵となるのは逆位置のタロットカード。そして主人公を付けねらう悪の組織・・・。とまぁ確か前作もそうだったと思うのですが雰囲気作りは悪くないのにどうも引き込まれないなぁ。括りとしては「医療サスペンス」ということになるのでしょうが、サスペンスはともかく「医療」はオマケというか医療現場で起きた事件という程度なのでそういうものを期待して読んだらガッカリすると思う。それに、時代設定や事件なんかは全く異なるのに、物語から受ける印象であったり人物造詣だったりは先日読んだ「死夢」とほとんど変わらないし。でもまぁ昼ドラ調サスペンスだと思えば読み物としては面白かったし、なによりも装丁が素敵です。・・・って確か前作も装丁を褒めた気がする。