倉阪 鬼一郎『十人の戒められた奇妙な人々』

十人の戒められた奇妙な人々

十人の戒められた奇妙な人々

戒律守りますか?人間やめますか? 日々悩める人々の前に「悩み事がおありのようですね」と突然現れる黒ずくめの男。「これをお読みください」と手品師のように取り出されたパンフレットに書かれた文字は−第十宗教哲学研究会のご案内−。悩める人々に授けられたたったひとつの戒律。守り続けるだけで心の平安を得られるはずだった十人は果たして・・・。いきなり最初のナメクジ男に持ってかれました。なぜかナメクジの被りモノを被り出社しクビになった男。彼はウサギのぬいぐるみを愛する孤独な男だったのだ。それなのに通っていた第十宗教哲学研究会の先生からある戒律を授けられ、泣く泣くウサギを葬ることに・・・「ごめんよウサちゃん・・・」やーんホロリ。いきなりホロリしちゃったんですけど。結末も超切ない。この後も多少おかしな人々ではあるけれど、なにもそこまで悩まなくても・・・つーか病院行け!みたいな人々のお話が続きます。バッドエンドなのに、それでもみんな幸せそう。あれー?クラニー先生のわりに普通じゃん?とか思ってるとやっぱ出た。ラストに向けて怒涛の気持ちわるっぷり。心持ち暴走気味。あーそんなオチでいいんですか先生〜。でも好き。クラニー先生の作品の中では抜群に読みやすいと思いますので、読まず嫌いの人にオススメします。装丁もかわいいしね。ちなみに5話目あたりからが本領発揮だと思われるので、そのおつもりで。一番オススメは「マックスは忍び寄る」これは普通に傑作ですよ。