恩田 陸『Q&A』

Q&A

Q&A

大型商業施設で発生した死傷事故。多くの死者と負傷者がでたこの出来事は事件なのか、それとも事故なのか。質問(Q)と答え(A)のみで進行する物語。かなり、実験的だと思った。宮部みゆきの「理由」という作品に似た空気を感じるけれども、ここまで徹底して対話のみで成り立たせた作品は初めての読書体験。読み始めは、インタビュアーというのか問いを発する人間の立場も性別もはっきりしなくて、座り心地が悪い気がした。最初に当事者ではなく、多少冷静に観察することができていたであろう人物に謎を語らせる入り方が上手いなぁと思う。その後事件に巻き込まれたいろんな立場の人々が語るのだが、もちろん出来事そのものを語りながらも、それぞれ抱えている問題や悩みがあったりして、それがすべて現代的なもので、そして不自然ではないところなんか、この人は物語を書くのが上手いんだなぁと再認識。ソフトボールチームの女の子の話なんて、かなりブラック。途中で、それほど関係がない対話が挟まれる。問いかける立場の人間も、もはやこの出来事に取り込まれてしまっていることが、読み終わってみればこの対話でよく分かる。そしてこの対話を挟んで、急に物語の空気感が変化する。だんだんとおかしな方向に進みはじめる。出来事が原因となり、別の事件が起こる。一方世間的にはあっというまに出来事が風化していく。ここまでは、いいの。なんだあのラストは。なんで急にファンタジーになっちゃうわけ?もうガックリ。どうしても神秘的な少女を描きたいのか。悪くない、ラス前までは悪くないだけになんだか異常に落ちました。この想い、どっかにぶつけたいー!