山本 甲士『かび』

かび

かび


毎日可もなく不可もなく暮らしている主婦。ある日突然夫が会社で倒れたという知らせを受ける。会社は夫を左遷し、退職に追い込もうとしている。このままでは終わらせない!会社に復讐してやる。もう負けないし、逃げない。一人の主婦が大企業に立ち向かう!そんな感じのお話。初めて読む作家さんなのですが、なかなかおもしろかったです。主婦の内面描写が結構キツイ。関西弁(なのかな?)を使ってて、テンポよく毒吐きまくり。私は主婦業をしたことないので、実際にどれほど鬱憤が貯まるもんなのか分からないけど、主婦って日々毒づいてそうだよなー心の中で。昔のことをしつこく覚えてたりだとか、コミュニティの中でのつきあいだとか、旦那の母親に対してだとか、娘に対してだとか、そういう女の内面描写はちょっと上手いなと思った。実際に復讐を決意してからの行動は結構ショボくて、まぁ普通の主婦だからこんなもんだろうなってなところですけど、そんな上手くいかないだろーとか思ったりもして、クライムノベルとしてはもの足りないかな。でも充分面白かったので、他も読んでみよっかなと思います。