大石 圭『湘南人肉医』

湘南人肉医 (角川ホラー文庫)

湘南人肉医 (角川ホラー文庫)

おせちモグモグ食べながら読みました。本年一作目。このセレクトは我ながらちょっとおかしいかな・・・。薄くて軽く読めそうだと思ったからで、コレ(おせち)が人肉だったらなぁ・・・(ウットリ)とか思ったわけではありません。好きな作家ではありますが、今作は物足りない。美容整形外科医である主人公に魅力もないし、人肉を食するきっかけというか動機も唐突だし、同様な設定の「殺人勤務医」ほど主人公=猟奇殺人犯を許せる、共感できるというわけでもない。といっても、人肉を愛する気持ちは伝わってくるし、ホントにおいしいのかも・・・と一瞬考えてしまう。でもいいのはその部分だけで、一番重要というか盛り上がるはずの愛する人を食べるということを描くことから逃げてるし、結末もほっぽり投げたような感じを受けました。
最近、ホラー文庫でしか書いていないみたいだし、「呪怨」「呪怨2」と一般受けするものを書いた後なので感覚が鈍ってるのかなぁ。また「履き忘れたもう片方の靴」とか「いつかあなたは森に眠る」のような作品を書いてくれることを願います。