『アンメット ある脳外科医の日記』第5話

いやあ・・・今回すべてが良すぎてなにから書けばいいのかわからんぞ。
縦軸の進行含めストーリー自体はこれまでの4話と比較して(医療ドラマとして)特に良かったということではないんだけど、演出がことごとく素晴らしかった。

星前先生が全ての科で専門医レベルの知識と技術を身につけた医者になるという目標を掲げた理由についてミヤビに語る場面で、セリフを噛んでもNGにせずそのまま使ったことや、オペ中から無事オペを成功させたミヤビがサポートしてくれた仲間たちと一人一人目を合わせて「景色を焼き付ける」シーンを無音で見せたことといった分かりやすく素晴らしい演出のみならず、職場の屋上で手羽先を焼きながらミヤビの不安を理解し励ます津幡師長や、ロールキャベツの差し入れを三瓶先生がその日限りのことのように受け取り食べてくれてることに気づいたミヤビにニヤつく成増先生、オペ当日の朝ミヤビを必死で説得し導く陽南子、そして住職の息子に手術の成功を報告しに行ってハイタッチ&抱き合って喜ぶ研修医まですべてが良かった。

ミヤビの診療記録を手に入れてくれないかと三瓶先生が綾野先生に頼むシーンで対照的な二人の「手」を映すことで綾野先生が心の奥に隠している想いを想像させたり、星前先生は「ママ生きてるよ」と言ったけど生きてるならああも感情を高ぶらせることはないんじゃないかと思うわけで、だからミヤビちゃんに気を遣わせないために、この会話を日記で毎朝追体験させることのないようにそう言ったのかなとか、幾重にも意味であり意図を想像させる演出が今回は特に多くて、ずっと心がじんじんしてました。

そんななかでも萌えはしっかり入れてくる。
そうですオペを終えたミヤビに「川内先生」と呼びかけ指先クイクイでおいでおいでする三瓶先生です。
嫌いな人どころかなんとも思ってない人でもこれをやられたらイラっとするけど、三瓶先生ならメロですわ。メロメロですわ。
「二人のほうが効率がいい」と言ってミヤビの練習に付き合い、目標タイムをクリアして「ベリーグッドです」ってこの言い方!これがまた絶妙なのよ三瓶先生!!(床バン)。

演出はYuki Saitoさんという方だそうで、wikiで確認したら演出回を見た作品がチラホラあるけどお名前を意識したのは今回が初めてです。
なぜ英語表記・・・?と思いつつ、お名前しっかり刻みました。

で、縦軸については今回やけに「薬を飲むミヤビ」を印象付けてたけど、前回の感想で“たとえばミヤビが毎日薬を飲んでる描写でもあればその薬の作用ってことになるかもだけどそれらしき描写はないよね”書いたもののいざその描写を見ると素人ならともかく医者が自分が飲んでる薬の効能を確かめないなんてことはないだろうし、「記憶障害の原因が見つからない」と言う三瓶先生が「川内先生が毎日飲んでる薬」をチェックしていないってこともないだろう。
だから薬が理由と見せかけて実は・・・のミスリードだと思ってるけど、でも治る見込みがないんですよね?と聞く綾野先生に大迫教授は「ないね」と言い切った。
医療に絶対はないっていうけど、それは記憶障害にも当てはまるだろうに、そう言い切るってことはその理由があろうわけで・・・。

手術後にミヤビが見たあの景色はミヤビが努力をしたから見ることができた景色であり、その努力をじっくり描いたからこそのこの感動なんだけど、でも記憶障害がなければこれほど努力する必要は、すくなくとも記憶がないことに対する不安を抱えて努力することはないわけで、その記憶障害が人為的な理由によるのならばそれをしてるヤツは問答無用で鬼畜に違いない、と今回のミヤビを見て強く思う。